As You Like It     ~気が向くままに~

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統合された全体

これは「ゲシュタルト」というドイツ語の意味です。


例えば、円形の中にいくつかのパーツを書き入れると、人はそれを「顔」と認識します。
しかし、それらのパーツを外に出してしまうと、顔と認識することはできません。
つまり、「全体は部分の総和とは異なる」わけです。
なんだかややこしいですが、ヒトの脳は『円形の中にいくつかのパーツがある順序で収まったもの』を顔であると『自分の知っているものに当てはめて』認識しているのです。
こういうことを「ゲシュタルトを形成する」といいます。

自分で書いていながらよく分かりませんが、これを「心理学」にあてはめますと、
「過去に犬にかまれた経験がある」と「またかまれるのでは?」と「犬を見ただけで恐怖の感情が涌く」ようになってしまいます。これはその体験をしたヒトが自分の知っていること、体験に当てはめてしまっています。これもゲシュタルトの形成です。

ゲシュタルト療法」という心理療法の種類については養成講座の理論学習で触れましたが、その時は試験用にゲシュタルト創始者はパールズ、図と地」というキーワードしか覚えませんでした。
だから実際のゲシュタルト療法というのがどういうものなのかはサッパリ分かりませんでした。

ゲシュタルト療法」では、カウンセリング(ワーク)の場で「過去にこういう出来事があってこう思った」のではなく「今、ここ」というのを徹底的に大事にします。悩みの原因となるのは、その出来事が今でも尾をひいている「未完の事柄」であるからなので「今、ここ」で「その時の感情に埋没し、今じっくりとその感情に触れて、つかって、発散して、未完の事柄を完了させる」ことで「私が私らしく自然に生きることができ、なおかつ周りの環境との関係を保っていく」ことを目指すのです。

実際にワークが目の前で行われましたが、これまでベースとして学んできた「傾聴」とはだいぶ違います。カウンセラー(ゲシュタルト療法では『ファシリテーター』という)はクライエントの話をさえぎらずに聴くということはしません。「今はどう思いますか?」という切り口で切り込んでいきます。「今、ここ」でその感情を体験し続けさせていくのです。そのために、クライエントの悩みの対象である人が目の前の空の椅子(エンプティ・チェア)に座っているから、今の気持ちをぶつけてごらん、と言ったり、逆にエンプティ・チェアにクライエントが座って、その人がどんな気持ちなのかを言って対話を試みたり、と「まるで劇を見ているような」場面が展開されました。でもクライエントは時には感情を高ぶらせたりしながらも、感情をここで出し切って、これまでのもやもやした気持ちに着地点を見出したように見えました。

これは、今日の午前中に産業カウンセラー協会の「月例会」で行われた講義です。
資格取得後の能力向上システムの一環です。これまでは基礎として「傾聴」実技を基本に学んできましたが、より深める学習として、今後はいろいろな心理療法についても学んでいきます。
私もしばらくの間、自分は今後何をしたいのだろうと考えたり、勉強の継続のためにも月に1回日曜日の午前中に開催される月例会にはできるだけ出席したいなと思います。