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十三人の刺客

この秋の映画、見てからずいぶん時間が経ってしまいましたので、そろそろレビューを書きます。
ワタクシがこの作品を映画館で見たとき、館内のほとんどは中高年の男性でした・・・が、気にしない(笑)
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幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。
時代劇映画の名作との呼び声も高い1963年公開の工藤栄一監督の『十三人の刺客』を、約半世紀の時を経て現代風に再構築した時代劇エンターテインメント巨編。日本を代表するヒットメーカーの三池崇史監督がメガホンを取り、江戸幕府史上最悪の暴君を暗殺するため、13人の刺客たちが命を懸けた一世一代の戦いを挑む。主演の役所広司を筆頭に、稲垣吾郎松方弘樹市村正親松本幸四郎ら豪華キャストの共演も見逃せない。
 
PG12作品に指定されていることもあり、クライマックスの殺陣シーンはグロテスクなシーンも乱発して、かなりすごいものでした。
でも、この作品は大河ドラマのような史実を元にした物語ではなく、完全なフィクションであるゆえに、暴君を暗殺すべく、太平の世の中、実戦からかけ離れてしまった武士も多い中で、13人の命をかけた刺客たちによる戦いが繰り広げられる、というエンターテイメントになりました。とにかく迫力、見ごたえはありましたね。主役の役所広司さんはさすがだと思いましたが、暴君を演じた稲垣吾郎くんもちゃんと暴君になっていました。
クライマックスに至る前も、島田新左衛門たちは密議を重ねて、計略を練って実行にうつしていく・・・暴君だってただハメられるわけではなく、あちらには鬼頭半兵衛をはじめとする武将たちの鉄壁の陣が待っている・・いざ刺客たちがいっせいに刀を抜いた時には、ドキドキも最高潮。映画ならではの迫力がありました。
 
さて、この映画に出てくる暴君、松平斉韶は時の将軍の弟であり、明石藩主であると劇中では説明されていました。松平斉韶という明石藩主は実在していますが、もちろんこんな暴君だったのではありません。
松平斉韶は先代藩主の息子であります。その松平斉韶の養子となったのが、徳川11代将軍家斉の25男!である松平斉宣でした。松平斉宣を養子に押し付けられたため、松平斉韶の実の息子は廃嫡させられてしまったそうです。この、ムリヤリ明石藩主となった松平斉宣のとあるエピソードが、十三人の刺客のモデルとなったといわれています。
 
夏に明石市天文館を訪れた時、すぐそばに長寿院というお寺があり、墓地が広がっていました。
長寿院には、歴代の明石藩主のお墓もあるそうなのです。
将軍の子どもである松平斉宣の墓はひときわ大きく、そして彼を養子に迎えた松平斉韶の墓は、歴代藩主の墓から少し離れたところに見下ろすように建てられているそうです。
その時は、まさか藩主の墓地があるお寺なんて思いもせずに、天文館の窓から覗いていましたので、
もう少し早くに知っていればなぁ、と映画を見てから思ったのでした。