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僕と妻の1778の物語

今日から3月。まさに三寒四温で、春と冬を繰り返していますね・・・
今年に入ってからの映画レビュー、再開したいと思います。
 
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 SF作家の朔太郎(草なぎ剛)と銀行員の妻節子(竹内結子)は、高校1年の夏休みに付き合い始めてからずっと一緒だった。だがある日、腹痛を訴えた節子が病院に入院し、彼女の体が大腸ガンに冒されていることが判明。医師(大杉漣)に余命1年と宣告された朔太郎は最愛の妻にだけ向けて、毎日原稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。
 フジテレビ系列で放映された「僕の生きる道」シリーズが、SF作家の眉村卓と2002年にガンで逝去した夫人との感動の実話を基に映画化。毎日1編の短編小説を5年にわたって書き続け、余命1年の宣告を覆した奇跡の記録が朔太郎と節子の物語としてよみがえる。仲むつまじい夫婦を演じるのは、『黄泉がえり』以来の再共演となる草なぎ剛竹内結子。監督は『笑の大学』の星護愛する人のためにベストを尽くす二人の感涙のエピソードに心洗われる。
 
実話を元に作品ですが、実話での眉村卓さんご夫妻は60代でしたので、映画では年齢が大きく違ってきます(それゆえ、谷原章介さん演じる滝沢夫妻やせっちゃんの母とのエピソードなど、私自身も体感してきた「若年性ゆえ」の複雑な思い、苦悩も描かれていました)。また、かつて私も見たドラマ「僕の生きる道」とキャストが重なる部分も多く、実話を元にしたフィクションとしての仕上がりになっていると思います。
 
劇中でいくつか紹介された「物語」は実際に眉村さんが書いたものですが、それがちょっと重いトーンの作品の中で、せっちゃんが笑ったみたいに暖かい気持ちにさせてくれました。また「せっちゃんの病状」がメインとなっていなかったことや、その病状の変化も「いかにもドラマ」というツッコミどころ満載にならずに自然な形で写っていたので、1778の物語を通しての、サクちゃんとせっちゃんの心の動き、夫婦っていいなあと思えるストーリーが展開されていきました。
でも、滝沢さんが言っていたように「1778の物語を書き続けていたら」必ず終わりが来てしまうのです。
せっちゃんはそれを望んでいるのか・・・?でもきっとこの映画の中のせっちゃんは、サクちゃんの毎日の小説を、その日が来るまで楽しみに待っていたんじゃないかな。だって、サクちゃんがいちばんサクちゃんらしく、せっちゃんに思いを伝えられたのは、やっぱり物語を書くことだったからではないかと思うからです。
 
最後に信じられないミラクルが起こるわけではありませんが、人の気持ちが通じ合うことの「奇跡」に自然な感動の涙が出てくるこの作品、ドラマの「僕生き」シリーズのテイストとあいまって、決して悲壮感ばかり漂わずに、心地よく劇場を出られると思います。