As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

八日目の蝉

震災から2ヶ月が過ぎ、あの時は厳しい冷え込みが続いていた気候も早くも夏のように-
原発事故はこれまでの公式発表を覆すような事実が次々と出てきました。
何かもう、何を信じたらいいのか分かりませんね・・・生活を投げやりになってはいけないのですが。
 


 
さて、こちらはGWの谷間の平日に、封切られてからすぐに行ったものです。
昨年NHKのドラマでやっていたのですが、ドラマ版は見ないで映画を見に行きました。
 
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八日目の蝉  監督: 成島出  主演:永作博美井上真央小池栄子
 
子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。
誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子森口瑤子田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。
 
見終わってみると、ドラマ版で希和子を演じていたのは壇れいさんだったというので、そちらも見てみたかったなと思います。
 
過去と現在が交互に出てきてストーリーが進むのですが、希和子、恵理菜(薫)、恵津子・・・決して許されない犯罪に巻き込まれてしまった故の、行き場の無い感情がこれでもかと現れていたような気がします。
4年の空白の期間を経て実の母のもとに帰ってきても、埋められない溝を残したまま成長してしまった恵理菜が、過去の自分とこれからの自分を探すために、実は誘拐犯であった父の不倫相手と「擬似親子」として成長した足跡をたどる旅に出ます。その結末は、おそらく厳しいものになるであろう現実までを描いたものではないので、想像するしかないのですが、多分主人公は、2人の母からの愛情を受けて、これから自分が母として生きていけるのではないかと希望を持てるものになっているのです。
生まれて間もない子供を誘拐し、母親になりすまして4年間の逃亡生活を送る・・・実母の耐え難い苦しみを思うと、許されることがあってはいけない犯罪のはずなのに、誘拐犯である希和子からは、母としてのあふれる愛情が伝わってきます。自分の写真が全国紙に載ってしまってから、警察の手が伸びるまでの間、最後に写真館で撮った親子としての記念写真、捕まった時に警官に呼びかける言葉・・・そこには母としての愛情がひしひしと伝わってくる、切ない描写でした。そして、こんな切ない事件を引き起こす発端となってしまった男っていったい・・・映画の中では存在感があまり感じられませんが、本当に男っていうのは・・・!と思いますね。
 
主役の女性陣の演技力はもちろんのこと・・・
あの「エンジェルホーム」で育った千草を演じた小池栄子さん、そして「エンゼルさん」の怪しさ満載の演技を見せてくれた余貴美子さんに、新たな境地を感じました。