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風立ちぬ

今年の夏休みの映画といったら、やはりなんといってもこちらでしょう
 
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風立ちぬ  監督:宮崎駿  声の主演:庵野秀明瀧本美織
 
大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。
宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ。美しい飛行機を製作したいという夢を抱く青年が成し遂げたゼロ戦の誕生、そして青年と少女との出会いと別れをつづる。主人公の声には『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明監督を抜てき。ほかに、瀧本美織西島秀俊野村萬斎などが声優として参加する。希代の飛行機を作った青年の生きざまと共に、大正から昭和の社会の様子や日本の原風景にも注目。
 
宮崎駿監督の作品は、前作があの「ポニョ」だったので実に5年ぶりということになります。
ジブリの作品としてはこの5年の間「アリエッティ」と「コクリコ坂」が公開されていますが)
さて、今回の「風立ちぬ」は6月くらいから映画館に行くと必ず「4分間におよぶ予告編」をやっていたので、どんな作品なのか概要は分かっていたのですが、これまでの作品と違うなぁと思っていました。

まず第一に違うのは「主人公が大人」であること(冒頭部分だけは少年時代のエピソードですが)。
これまでのジブリ作品は、トトロにしても他の作品にしても、まずはアニメーションは子供たちのものというスタンスだったので、今回は明らかに大人向けの作品となっていたところが大きく違っていました。
もう1つの違いは、これまでの物語は短い期間に起こった出来事をまとめているのに対し、今回は一人の人物(堀越二郎)の半生を描いている(物語が数十年に渡っている)ということです。
そしてこの作品の最大の特徴は、ゼロ戦を作り上げた堀越二郎の物語に同時期に生きた作家の堀辰雄の「風立ちぬ」の要素を混ぜ(でも、ヒロインの名前は「風立ちぬ」に出てきた「節子」ではなく、堀辰雄のもう1つの代表作ともいえる「菜穂子」から取っている)て、ファンタスティックな物語に仕上げているところだと思います。

だから、いつものジブリ作品のノリで見始めるとちょっと勝手が違うかもしれません。実際私が見た時に館内には子どもの姿も多かったのですが、後半部分は明らかに飽きちゃっていそうな子がちらほらといました。
というわけで、感想なのですが・・・
率直に言って「ポニョ」で宮崎監督の作品が終わらなくてよかった・・・と思いました。
主人公の声が妙に素人っぽいなと思ったら、なんと「ヱヴァンゲリヲン」を撮った庵野秀明監督だといいます。
うーん、これが吉と出たか凶と出たかはまだ分からない感じがします。
そして、この映画の感想として少し前にVOL-Netのメールマガジンの編集後記として私が書いたものをここにも載せたいと思います。
 
私事ですが、先日宮崎駿監督の5年ぶりの新作となった「風立ちぬ」を見てきました。宮崎監督の作品は老若男女を問わず幅広い年代の人々から愛されていると思いますが、これまでの作品とは一味違った「大人のためのアニメーション」になっていました。大正から昭和初期にかけての関東大震災世界恐慌、多くの若者の命を奪った結核など、当時を生きた人々にとっては辛い時代だったと思います。それでも、主人公がひたむきに夢を追いかける姿と、その夢が結果的に戦争に使われて全てを失ってしまった悲しみがスクリーンから伝わってきました。戦後68年が経った現在、相変わらず生きにくい時代だと思うことが多々あります。でも、そんな世の中だからこそ夢だけは失わずに生きていきたい、と思いました。