As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

機長のファインプレー

春休み前半は娘の塾春期講習があったので、後半で一泊旅行に行くことになりました。
(今度は両親と一緒の5人での旅です)

行き先はまたしても南紀白浜。朝から雨が降っていましたが、この程度の雨ならば大したことはないだろうと思っていました。帰省の時に乗る松山行きの便ならこれぐらいではなんともありません。

ところが、JALの搭乗口に着くと「羽田に引き返す可能性と、関空に行き先を変更する可能性があるのでご了承ください」とあります

やっぱり飛行機が小さいからなぁ…
それにしても羽田引き返しだけはカンベンだよ…

南紀白浜空港にはJALの羽田便が一日3便就航しているだけです。その飛行機も80人くらいの小さい機材です。だからちょっとした雲や風でもよく揺れます。事実離陸して暫くはガタガタと激しく揺れて大丈夫だろうかと思ったものの、飲み物サービスの頃には穏やかに飛行していました。

そして機長の挨拶がありました。

南紀白浜空港は雲がだいぶ低いところにあり、また霧の発生のため、現在着陸不適合と指示が出ています。しかし天気は徐々に回復傾向にあるので、上空で旋回しながら待機し、回復を待って着陸を試みます。1時間ほど待機しても着陸できない場合には関空に行き先を変更します」

とりあえず羽田引き返しは免れそうですが、霧で視界が悪くて着陸できなさそうと分かりました
やがて白浜に近づくとベルト着用サインが点灯し、飛行機はゆっくり旋回を始めました。あまり揺れは感じません。CAさんからは到着が遅れるお詫びですとキャンディのサービスがありました。

旋回を始めて15分くらいして機長から「天気が回復してきたので、着陸を試みます」とアナウンスがあり、徐々に高度が下がり始めました。
雲の中を通るのでまたガタガタと揺れます。が、揺れが収まり外を見るとアドベンチャーワールドの観覧車が見え、今にも着陸しそうな体制になっていました。が、

え?着陸しないの?

飛行機は急上昇してしまったのですせっかく近づいたアドベンがどんどん遠ざかっていきました。

上空に達すると再び機長のアナウンス。

「先ほど着陸を試みましたが、やはり霧で視界不良のため安全の確保ができずやり直すことになりました。今一度上空で待機しながら着陸の機会を待ちます」

前回と同じように飛行機はゆっくり旋回を始めました。霧が晴れて着陸できるのか、それとも関空に変更となるのか…小さい機材なので燃料も限られているでしょう。機長はギリギリのところで最善の判断を下さなくてはならないのですね。

果たして、しばらく後に飛行機は再び着陸体制に入りました。これでダメなら関空でしょう。

ガタガタと揺れ、
窓からアドベンの観覧車が見えて、
そして今度は無事に着陸しました!

機内はいっせいに拍手があがりました。良かったねぇ、と声も聞こえています。
機長からは到着が遅れたお詫びのアナウンスがありましたが、改めて拍手が起こりました

今回の搭乗の前に、ドイツで飛行機が墜落する痛ましい事故が起こりました。副操縦士が故意に墜落させた疑いが濃厚で、事故というより事件でしょう。だからちょっとビビりながら乗ったのです。乗客はコックピットの操縦士に命を預けるわけですから。こういう時のクルーの判断力、冷静さは素晴らしいと思います。

約1時間遅れで南紀白浜空港に無事に降りましたが、その後レンタカーの事務所の方が言うには、南紀白浜空港は暖流の影響で霧が出やすく、梅雨時や雨が多いときは着陸できないことはしょっちゅうだそうです。関空に変更にならなくて良かったですねと言われました。関空に着いた場合、そこから白浜までの交通費は自費になるそうです。

飛行機から降りてからコックピットを見たら操縦士の方がコーヒー?を飲んでいました。やっと緊張が解けたのでしょう。本当にお疲れさまでした!

そして翌日は晴天に恵まれ、何事もなく羽田に戻って来ることができました。