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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

先週は我ながらよく仕事しました(笑)
そして週末はあっという間に終わってしまいそうです。

そして、映画レビューはようやく2019年に見た作品に移ります。

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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
監督:前田哲 主演:大泉洋高畑充希三浦春馬


北海道で医大に通う田中(三浦春馬)は、ボランティア活動を通じて体が不自由な鹿野(大泉洋)と出会う。鹿野は病院を出てボランティアを募り、両親の助けも借りて一風変わった自立生活をスタートさせる。ある日、新人ボランティアの美咲(高畑充希)に恋をした鹿野は、ラブレターの代筆を田中に頼む。ところが美咲は田中の恋人だった。
探偵はBARにいる』シリーズなどの大泉洋を主演に迎え、渡辺一史の著書「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」を映画化したドラマ。幼いころから難病で車椅子生活だった主人公の涙と笑いの日々を映し出す。医大生をドラマ「僕のいた時間」などの三浦春馬が演じ、ヒロインをドラマ「過保護のカホコ」などの高畑充希が好演。『猿ロック』シリーズなどの前田哲が監督を務め、ドラマ「ウォーターボーイズ」シリーズや『映画 ビリギャル』などの橋本裕志が脚本を担当している。


筋ジストロフィーのため24時間の介護が必要な鹿野さんが、病院や施設、家族に頼らずにボランティアを募って自立生活をする。
なんて社会福祉的なメッセージの漂うドキュメンタリーではなく、そのタイトルと大泉洋さんの顔を見ただけで、なんだか予想を覆してくれる話なんだろうな、と思っていたら、予想の斜め上を行っていました。そして、この作品は単に大泉洋さんが北海道出身だからキャスティングされたのではなく、彼だからこそ演じることができた役だと思います。
障碍をもつ人の介護や生活補助は、高い意識をもった職員や介助者によって支えられている…のではなく、ごくフツウの日常であり、そこにはフツウの対人関係があるのです。支えがないと生活が困難だからいつも介助者に頭を下げる…のではなくボランティアと対等な関係、だから映画のタイトルみたいに夜中にバナナ🍌を食べたがったり、アダルトな要求をしたりするのです。ボランティアには比較的時間の融通が効く学生や主婦層が多いですが、彼らは全てを捧げているわけではもちろんありません。急遽他のメンバーと交代するのは当たり前、自分の生活にボランティアの時間が取れなければボランティア活動から降りるので、ボランティアメンバーは常に入れ替わります。
鹿野さんの病状は徐々に進み、できないことが増えてくるのですが、途切れることのない日常が笑いあり涙ありで描かれ、そこには多少の恋愛要素も混ざってきます。
今後の社会福祉においても、鹿野さんのようなケースは珍しい体制とは思いますが、地域社会で暮らすためのさまざまな方法が確立されて欲しいなと思った作品でした。
作中では、綾戸智絵さん演じる母を鹿野さんが拒絶するシーンがあり、少々切なく見えますが、原作本には、鹿野さんの妹さんも障碍を抱えていて、ご両親が鹿野さんの病を知ったのは彼が小学校高学年になった時だということや、鹿野さん自身が離婚した後にボランティア体制を作ったということが書かれており、彼のこれまでの生活が編み出したスタイルだったのかもしれません。