As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

NHKスペシャル、2日目

2日間の放送が終わりました。
第二夜の収録は第一夜収録の2日後でした。スタジオに集まった患者&家族のみなさまと医師の方々は、二夜通して同じ人もいましたが、結構入れ替わっていました。

今夜の主題は、緩和医療
私も昨年11月のVOL主催の勉強会に出るまで、患者でありながら、緩和医療とは終末期のみに適応されるものと思い込んでいました。
現在の日本では、いわゆる「がんそのものに対する治療」を行う病院と緩和医療を行う病院が分離してしまっている、というところに問題があると思います。
がんそのものを治療する医師は、外科的知識や抗がん剤についての知識はあっても、緩和に対するスキルは十分でない、またスキルを磨くチャンスも少ないのが現状です。また緩和ケア医にとっても同じです。結局、多くの緩和ケア病棟は、がん治療の拠点病院とは異なる病院(宗教的な部分を取り入れている病院に多い。おそらく、牧師さんなどの「宗教的な部分からの心のやすらぎ」を施せるスタッフも出入りしやすいだろうから)にあります。
私が出産した病院もキリスト教の影響が濃い病院で、緩和ケア病棟もありました。しかし同じ病院内で外科を始め、がんそのものに対する治療はほとんど行われていませんでした。

このような現状だと、「治療を続けるか、緩和医療を受けるか」という選択を迫られることになってしまいます。スタジオにいらした家族の方が言っていましたが、「そのような状態だと、終末期になってから、これまでお世話になった医療スタッフとすべて別れなければいけない。それはまるで「見放された」ようにも感じてしまい、なかなかホスピスに行こうという決断ができなかった」とあります。
患者さんの思い、家族の思いが揺れ動いてしまうところだと思います。

番組では、緩和医療をがん治療の中心に取り入れるようになり、早い段階から痛みを取り除く治療を積極的に行っているイギリスの現状や、癌研有明病院での試みも紹介されました。
また、広島県での「デイホスピス」を中心とした緩和医療の試みも取り上げられました。
病院での診療科目ごとの縦割りではなく、がん治療の早い段階から緩和医療を取り入れることによって、痛みを取り除く、そのことが体力も温存するし、抗がん剤治療に取り組むこともできる・・・番組にも登場した向山医師が「がんの苦痛を取り除く、という治療も積極的な治療です。消極的な治療というものはありません」と勉強会でもおっしゃっていましたが、もっと医療現場にも広がって欲しい、連携を取って欲しい、そして患者側も緩和医療についての正しい知識を身に付けよう、と思いました。

癌研病院の緩和医療で、痛みを取り除くことができ「もっと早くできていたら・・・今の痛みのない生活が夢のようです」と語っていた患者さんの言葉が忘れられません。でも彼女は旅立ってしまったそうです。もっともっと痛みのない時間をすごしたかっただろう、と思います。