As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

コトー先生と彩佳さん

今回の星野彩佳さんのケースについて、乳がん体験者としての視点で見るとちょっと突っ込みどころが多いのでは、と感じることがあります。

東京の鳴海先生は冷淡なキャラに書かれていますが、医師として言っていることはしごくまっとうなことに思えるんですよね。
病気が見つかった時点で脇のリンパの転移を疑われ、術前化学療法をした。AC→タキサン系という薬のチョイスで、ACでは腫瘍の縮小効果が認められなかったが、タキサン系に切り替えた後2センチにまで縮小した。脇の下の腫れも認められなくなった。
しかし、鳴海先生は腫瘍の大きさと脇の下のリンパへの転移が完全に消えてなかった場合のリスクを考え、乳房全摘術とリンパ節郭清が妥当なオペ方法と結論した。
彩佳さんは、リンパ節郭清を受けると後遺症(腕の上がりにくさ、およびリンパ浮腫)が出た場合に看護師の仕事が続けられないのではないかと訴えたのだが、鳴海医師は「後遺症のリスクより生きていることが大事ではないですか」と言った・・・
彩佳さんは東京で治療を受ける意思は変わらないのだけど、でも、今回の放送で娘の病気を知った星野さんは、島に戻ってコトー先生の手術を受けた方がいいのではないか?と言い、彩佳さんの病気のことを知ってしまった島のみんなの後押しもあってコトー先生は彩佳さんの手術をするために東京へ旅立つ-

確かに診察室に鳴海先生がいたら主治医として全てを預けられなくなる彩佳さんの父の気持ちはわかります。先生は患者さんを「ひと」として受け入れてないでしょう・・・そういうキャラだから。

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私は彩佳さんがAC療法を受けていた頃、「現実はこんなんじゃないよ~」という心の中の突っ込みを抑えられませんでした(だって、アドリアシンやエピルビシンはもっとも副作用をつらく感じる人が多い薬です。彩佳さんの場合、投与期間最後のほうで髪がちょっと抜けていましたが、フツウはああはならないです)。
でもそれはね、物語の本筋とは関係なかったからなの?!
当初の腫瘍の大きさから2センチに縮小しても、全摘になるケースもアリではないか、とも思うし、今回は「リンパ節郭清」のことがすごくクローズアップされてます。ここ数年こそ「センチネルリンパ節生検」がメジャーになりつつありリンパを取らなくても済むケースが増えてきたけど、リンパ節郭清はまだまだ普遍的な術式ではないかと思ってしまうのです。腕があがりにくくなる、リンパ浮腫・・・確かに後遺症(必ずしも出るものではないが、いつ誰が出るのかは分からない)は厳然とした事実だし、まだまだそのケアの専門家は少ないです。でも、リンパ節郭清の手術を受けても現役の看護師として活躍していらっしゃる方はいっぱいいます。それに、センチネル生検で転移がないと分かってリンパ節を取らずに済むのであればいいのですが、単に腕の運動機能のために残してしまい、もしも転移があったらと思うとそちらの選択のほうが医学的に危険ではないか(それでも患者さん本人の意思があれば別ですが)とも思います。

僭越ながら私自身は、通常の乳がんの手術では考えられないほど広範囲のリンパ節を郭清しています(後日病理報告書を見て知りました)。ハルステッドの時代に行われていた鎖骨下のリンパ節まで取っていたのです。呼吸器外科医だった執刀医が広範囲に郭清したほうがベターであると判断したのでしょう(現主治医K先生ならそこまでの郭清は行いません)。でも、腕が上がらないなんてことはないんです。たまたま運がよかっただけかもしれませんが。手術後も実験室で働き、車の免許を取り、今は毎日10キロ以上ある娘を抱えて歩いているんですから。

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彩佳さんのそばにいてあげて欲しい-
その理由で島の診療所に交代の医師が来てくれるのか?
そもそも大学病院側も急にコトー先生にこられては困るだけなのでは?
そういう突っ込みはもう野暮なんでしょうね。

彩佳さんは病気では死なないって。
何度でも、何度でも僕が治しますって。
そして、リンパ節を取らない手術をするのでしょう?
こんなこと言ってもらえる彩佳さんは幸せです。

そんな手術を本当にしてくれるなら、
私も時計を巻き戻して、与那国島へ行きたかったよ。
与那国島がどんなに遠くても、松山よりも遠くても-

最終回スペシャル、期待しています。
コトー先生の奇跡を見せて欲しいです。
そして彩佳さんを必ず元気にしてあげてください。

どこで聞いたのだか忘れてしまいましたが、
コトー先生は船酔いがひどいです。昨日もここぞという場面で船酔いでゲーゲーやっていました。
しかし、コトー先生を演じる吉岡秀隆さんは船にはめっぽう強いそうです。
むしろ時任三郎さんのほうが船には弱く、船上ロケで本当に吐きそうになっているのはコトー先生ではなくて剛利さんのほうだというウワサです。
与那国島の周辺の海であの小型船でのロケはきついでしょうね。