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ホメオパシー入門

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私が定期的に娘を連れて伺っている「野菜料理の先生」のお宅では、料理教室の他に「コラボ企画」を行っています。
これは料理以外でスキルを持った方に講師になっていただいて講座を開き、終わるころにベジランチが出てくるというとても美味しい講座です。もちろん子連れOKです。

今日はそのコラボ企画で興味深いものがあったので参加してきました。

テーマはホメオパシーについて内科の女医さんが話してくれるというものでした。子供の風邪のセルフケアに焦点を当てています。
ホメオパシーとは、ドイツ生まれの自然療法の一種で、日本語では「同種療法」と訳されます。
砂糖でできた球に植物、動物、鉱物などから抽出した成分を含ませた「レメディー」を摂ることにより、人間の自然治癒力に働きかけて病気を治すというのです。日本ではあまりなじみがないですが、ヨーロッパでは王室の主治医を勤めるなどメジャーな療法になっているようです。

私も初めてホメオパシーのことを聞いた時には、西洋版の怪しい民間療法じゃないかと思っていました。
でも数年前に「ホリスティック医療のすすめ」という本を読んだ時にホメオパシーについても触れられてあり、いわゆる代替医療と呼ばれるものも今は統合医療という考え方の中で、西洋医学をただ否定するものではなくて、自分に合った医療の1つとして選択するという考えを知り、機会があったら話を聞いてみたいと思っていたのです。

先生はまず「中間、中立の立場」に立ってくださいといいました。
ホメオパシーを絶対視して西洋医学を否定するのは危険だということです。
次に「かかりつけの小児科医を見つけましょう」ということや「すぐ病院に行くべき症状」についても話がありました。
喘息のような慢性疾患や抗生物質が必要な場合など、病状によってホメオパシーを選択すべきではないこともあるのです。病院へ行くとは「その時一番必要なものを見極める」ことですから、常に中立の立場に立って欲しいそうです。

ホメオパシーを始めたのは、200年ほど前のドイツの医師、ハーネマンです。
当時「キナの皮」がマラリアに効くと言われていたのですが、ハーネマンは自らキナの皮を何の症状もないのに飲んでしまいます。するとマラリアそっくりの症状が出始めたのです。このことから、キナの皮がマラリアに効くというのは、「マラリアの症状を起こさせるものであるから効果があるのではないか」と考えられました。「毒を持って毒を征す」に近い考え方であるといえましょう。症状を押さえ込むのではなく、症状を出し切った後、自然治癒力を高めていくのだそうです。現在レメディーとして使われているものも、病気を起こさせる成分をごく微量に薄めているものです。砒素、リン、トリカブト・・・一瞬ぎょっとするような成分もありますが、薄めて、たたいて、分子の形がなくなるくらいになっているそうです。フシギなことに、レメディーは希釈すればするほど効果が高くなるそうです。

それから話はホメオパシーを用いたセルフケアへと移り、レメディーの購入方法やレメディーの選び方、摂り方へと進んでいきました。今年を代表するカゼ、嘔吐下痢症インフルエンザやそれに類似する症状についてよく用いられるレメディーの説明があり、合わせて注意することや、どのような状態になったら病院へ行くべきかといった説明もありました。

話を聞いていて、「中立、中間」の位置に立つ先生の姿勢に好感をもてました。
このような西洋医学とはことなる医療は、通常は西洋医学と対立するものであると考えられるし、西洋医学を全否定してしまうケースも多いです(例えば、子どもに予防接種を受けさせないと拒絶する人がいますが、そういうことは良くないのです)。でもこの考え方であれば、考えを偏らせることなく、1つのセルフケアのチョイスになるのではないかと思います。

質疑応答の時間がありましたので、
がんの治療とホメオパシーについて質問してみました。
(周囲の視線があるので乳がんのことは伏せましたが)

がんについては、ホメオパシーは第一選択の医療にはなりません。
あくまでがんの治療は西洋医学である、手術、化学療法(薬物療法)、放射線治療が三大柱になります。
その上で、ホリスティック医療としてホメオパシーを取り入れたい場合、
・精神的につらい症状を和らげるために欲しいのか
・肉体的につらい症状を和らげるために欲しいのか
・痛みを和らげるために欲しいのか
ということで選ぶレメディーは違ってきます。
ここから先は、患者さん自らが選択することになります。
セルフケアの域を超えてきますから、ホメオパシーについて詳しい専門家(ホメオパスといいます)のセッションを受ける必要があるでしょう。当然健康保険はききません。

また、このような代替医療を取り入れる場合、治療者をきちんと見極める必要があります。
・がんを絶対に治す、という。
・万病に効く、という。
・高額な治療費を請求する。
・病院へ行かないように、という。
このような治療者は、偏った見方をしていることがあるので盲信することになると危険です。現在の治療と合わせて、患者さんにとってよりよい方向へといくような医療を選んでいきましょう。

講義が終わったあとは、料理の先生特製ベジランチになりました。
たまにはゆっくりただ味わうのもいいですよ~