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シンデレラの原作

今私が読んでいるのが初版 グリム童話集です。

私たちが子供のころから慣れ親しんだ「グリム童話」は実はグリム兄弟によって何度も書き換えられたものである・・・原作はもっと残酷なシーンや性的な描写が見られる、という話を聞いたことはないでしょうか?
グリム兄弟が当時のドイツで多くの人から集めた人々の間に伝わる「昔話」がグリム童話の元となっていますが、彼らは亡くなるまでに何度となく改訂を行い、初版から第7版までが出版されています。
そして版を重ねるごとに他の話と一緒になったり、削除されたり、あるいは一部が変わったりといろいろな改訂がされ、その姿は変貌しています。明治時代に日本に伝わり、私たちが子供のころから絵本やアニメで親しんできたのは第7版を元にした話です。

例えば、誰もが知っているであろう「シンデレラ(灰かぶり)」
シンデレラは意地悪な継母と2人の姉にいじめられていましたが、ある時王さまの舞踏会に継母と姉が出かけていきます。すると魔法使いのおばあさんが出てきて、カボチャの馬車とドレスとガラスの靴を出してくれて、シンデレラも舞踏会にいけるようになります。魔法使いのおばあさんはシンデレラに「真夜中の12時までに帰ってこなくてはいけないよ。でないと魔法がとけてしまうからね」というのですが、シンデレラはすっかり王子様とのダンスに夢中になってしまい、12時の鐘が鳴り出したので慌ててお城の階段を駆け下りるのですが、ガラスの靴を片方落としてしまいます。その後片方のガラスの靴だけがお城に残され、「この靴がぴったり合うものをお妃とする」というお触れが出ます。そして見事シンデレラの足に靴がぴったり合って、シンデレラは王子様と結婚します。

でもグリム童話の原作(初版本)には魔法使いのおばあさんなんて出てこないのです。
舞踏会にでかける意地悪な姉さんたちはシンデレラに「帰ってくるまでにより分けておきなさい」と大量の豆をおいていくのですが、そのより分け作業を手伝ってくれるのが2羽の白い鳩なのです。
そして、舞踏会に出るためのドレスを出してくれるのは「亡きお母さんのお墓の木」であって、木を揺するとドレスが出てくるんだよ、と教えてくれるのも鳩たちなのです。
それから、舞踏会は連続で3夜あって、最初の晩シンデレラは高いところで覗いているだけなのですが、2日目にドレスと「銀の靴」が出てきて、3日目にドレスと「金の靴」が出てきます。そして、お城の階段を駆け下りる時に階段にタールが塗ってあるので靴がくっついてしまうのです。
その後、王子様の花嫁探しのとき、シンデレラの姉さんたちはそれぞれ足のつま先やかかとを切り落として靴を合わせるのですが鳩たちの歌声によってバレてしまい、最後にシンデレラが履くと足にぴったり合った、というわけです。

大まかなストーリーはともかく、ずいぶん違ってくるでしょう?

また、初版本には「子供たちが屠殺ごっこをした話」などタイトルも内容も「ギョッ」としてしまうような話も収められています。これは当時から「子供向けでない」と批判が多かったようです。
文学というのはやはり時代に流されてしまうのも致し方ない生き物であると思います。

そういえば、以前「トリビア」でもやっていましたが、
日本の代表的昔話「桃太郎」でも「桃から生まれた桃太郎」が定番ですが、これは明治時代に教科書に載せるにあたって書かれたものであり、それ以前に主に伝わっていた話では「川から流れてきた桃を食べたおじいさんとおばあさんは若返り、桃太郎が産まれた」というものなのだそうですよ。