シッコ
で、映画のことを書きます。
12日に夜学に行ったと書きましたが、その前にかねてから見たかった映画を見たのです。
「シッコ」監督、脚本、製作 マイケル・ムーア
今回ムーアのターゲットとなったのは「アメリカの医療問題」
ということで、実は「華氏911」は見ていない私なのですが、ムーアの作品に興味を持ちました。アメリカの医療技術は世界一、新薬の開発もすばらしい、どうしてアメリカでできることが日本ではできないの?!アメリカで使える薬が日本では使えないの?!患者に対するフォローやボランティアのかかわり方が、日本と比べるとアメリカははるかに進んでいるように見えるの?!
アメリカの医療はとにかく素晴らしい・・・がん体験者をやっているうちにいつの間にかそんな感覚にすっかり陥っていた私にとって、この映画は「衝撃的」の一言につきました。
アメリカは、先進国の中で唯一国民健康保険のない国です。医療保険を担うのは、民間の保険会社。医療の世界にも市場原理がしっかり根付いています。実際、国民の6人に1人は無保険と言われている・・・
でも今回の映画が焦点を当てたのは「保険に入っている人たち」なのです。
でも今回の映画が焦点を当てたのは「保険に入っている人たち」なのです。
民間の保険に入れれば安泰なのか?!いえいえ、とんでもない!!
会社は何かと理由をつけては保険金を払わない、保険会社に雇われる医師は「この治療は不要だ」と判断すると「無駄な支出を減らすことに貢献した」と報奨金を与えられる。だから保険に入っていても、保険会社の判断ひとつで治療が受けられなくなったり、莫大な自己支出を強いられたりする・・・夫婦ともども病気にかかって破産してしまったり、薬代のために70歳を超えても毎日の仕事がやめられないと言う現実。政治家たちは保険会社や製薬会社から多額の献金を受けているし、国民健康保険を求める動きに対しては「社会主義への第一歩」と徹底的に潰しにかかる・・・ムーアが自分のHPで医療に関する体験談を求めたところ、1週間で25000通以上ものメールがきてしまったのです。カナダで、イギリスで、フランスで、キューバでできることがなぜアメリカではできないのか?!ムーアは突撃取材を通して映画の中で問いかけます。何かが間違っていることは、もうみんなが気づいている。おかしい状態を打破するのに、われわれ一般市民には何ができるのか?!
もちろん、国民健康保険が充実している国であっても、すべて問題なくいっているわけではないし、ドキュメンタリー映画とはいえエンターテイメント性もあるからこの映画に描かれていることがすべての真実ではありません。でも、その分を差し引いても、アメリカの医療は考え直すところにまで来ているのではないでしょうか。そして、日本の医療制度が急激に変わっていく今、シッコは決して遠い海の向こう側の話ではないと思います。
そういえば、ムーアはフランスを取材したとき、国保の充実にためいきをつきながら
「これからは、フライドポテトではなくフレンチフライと呼ぼう」
と言いながらポテトを食べていましたたが、「フレンチフライと言う前に、フライドポテトを食べるのはやめたほうがいいのではないか」と私はスクリーンに向かってつぶやきました。
「これからは、フライドポテトではなくフレンチフライと呼ぼう」
と言いながらポテトを食べていましたたが、「フレンチフライと言う前に、フライドポテトを食べるのはやめたほうがいいのではないか」と私はスクリーンに向かってつぶやきました。