As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

格安パンで「餌付け商法」

私が以前住んでいた赤羽のマンションで、階下のテナントに「トピックストア」というなんともあやしげなお店ができたことをこのブログにも書いていたことがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/furubou1118/40737903.html
トピックストアのことは、2006年10月から2007年1月まで書いています(4ヶ月間の営業で、1月末に閉店しました)。オープン当初に、ひやかしで店を覗いた私たち夫婦は、パンと梅干を100円で買いました。

オープン前に「食パン3斤で100円」のチケットをチラシとともにばらまき、それから連日のように「日替わり100円商品」で主に高齢者の方々をひきつけ、肝心の店内はというと、商品はほとんど陳列されず、セミナー会場のようにパイプ椅子が並べられていて、しかも入り口は模造紙などで目張りされています。
店が開店するのは1日3回だけ。それもただ買い物するのではなく、スタッフの話を聞いてからでないと買うことはできないのです。
毎日、店長をはじめとするスタッフは、日替わり商品の販売とともに「健康にまつわる講義」をして、店に集まるお客さんと「信頼関係」を築いていきます。集まるお客さんはほとんどが高齢者、一方の店員さんはほとんどが20代の若者で、孫のような存在の店員さんたちにいつのまにかお客さんはすっかり心を許しているようです。オープンから1ヶ月以上経ち、すっかり信頼関係ができあがるころには、店は「会員制サロン」の様相を呈してくるので、ひやかして入ってくる者などいなくなります。

そして・・・いよいよお店は「本性」をあらわにしてくるのです。

お店のチラシやパンフレットの「当店で扱っている商品の一部」ではない、高額の健康食品を販売しにかかるのです。健康不安を煽り立てる講義をした上での商品の宣伝です。ここまできて「アヤシイ」と気づいた人もいるでしょう。もちろん、昨今はいろんな情報が出回っていますから、この店のシステムを分かった上で「日替わり100円商品だけが目的」で来ているお客さんもいたようです。
・・・でもその一方で、これらの高額商品を「購入」してしまう方も、高齢者の方々を中心に多かったようです。同居のご家族などが「被害にあった」と気がついても、当のお客さんは「自らの意思で購入した」わけだから、まさに「法の目をかいくぐっている」ような商法であって、敵もさるもの、難しいなと感じていました。

彼らが「本命」で売りたかった商品は、炭素の食品、酵素、高額な化粧品、そして「α波が出る布団」1枚30万円のようでした。これらの高額商品で多くの契約が成立すれば、それまでの「100円商品」でのマイナス分も取り返せるのでしょう。そして、このお店は、これらの「健康に良い商品」を紹介するための店なので、紹介期間が終わったら閉店するけれど、「アフターフォロー」として「宅配」で高額商品を持続的に購入することができるよ、とさらに勧めているのです。もしお客さんが「何かおかしい」と気づいたとしても、お店自体がなくなっているのです。まあ、高齢者がほとんどですから、なすすべもないだろう、とふんでのことでしょうか?

その後も、約4ヶ月間の開店期間、店では次から次に「ありそうだけど実際にはトンデモ系?」な研究所の研究員と称する人による「講演会」が行われたり、それとセットでいろんな高額商品が売られていたようです。お店に来る高齢者たちは「スタンプカード」を持っているらしく、そういえばいつのまにか「今日の100円商品」はなくなっていました。

その研究所といえば「肝胆研究所」「健康医学研究所」「日本癌予防研究会」「遺伝子栄養学研究所」
私はみんなぐぐってみました・・・少なくとも「公的」な研究所はひっかかってきませんでした。
名前だけは「それっぽい」けどね。

跡形もなくお店がなくなり、私も赤羽のマンションから引っ越しましたが、その後今住んでいるところの近所で「コスモハート」というお店がオープンした時にトピックストアのことをちょっと思い出したりしたものの、その後はすっかり忘れて過ごしていました。

そしたら、今日の新聞にこんな記事が。
http://www.asahi.com/national/update/0521/TKY200805210179.html
「ホワイティ」というのがトピックストアの運営会社です。夜のNHKニュースでも取り上げられていました。

赤羽のトピックストアの、店長さんをはじめとするスタッフの顔が思い浮かびました。
スタッフの1人は、地元赤羽出身と言っていました。女性店員さんも、若くて地方出身の子もいて(店内に店員さんのプロフィールが張ってあった)彼女たちが一生懸命に高齢者のお客さんに接している姿をみて、もし故郷のご両親がこの姿を見たらどう思うだろうかと胸が痛みました。
彼らが新しい職業人生をスタートするためにも、今回業務停止命令が出てよかったと思います。

そういえば夫が一言

「トピックストア、とんでもなかったけど、オープンセールで100円で売っていた梅干はうまかった」

100円じゃなくていいから、まともに売ってほしかったです。