As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

おくりびと

毎年、10月1日はYahoo!のトップページがピンクになりますが、早期発見のために検診の啓発するという意義は感じるものの、イチ体験者としてはなんだかこそばゆいというか、落ち着かない気分にさせられるものです・・・

そんな中「ピンクリボン月間」が始まったことにはあまり意識を持たずに出かけた今日の1本。
しかも今日は「ファーストデー」いつもなら水曜日は「レディースデー」で女性のみ1000円で見られますが、今日はみーんな1000円。娘を送り出した後夫と行くにはとてもおトクに映画を見られる日です。
こういう日の映画館は、チケット売り場がすごいことになるのですが、あらかじめネットで席を予約しておいたので、着いたら機械にクレジットカードを通すだけですぐに見られたのでした。

おくりびと 監督:滝田洋二郎 主演:本木雅弘広末涼子

第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞!
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は新聞で好条件の求人広告「旅のお手伝い-NKエージェント」を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが・・・「旅のお手伝い」は誤植で、本当は「安らかな旅立ちのお手伝い」とのこと。社名の「NK」とは・・・?!妻・美香(広末涼子)にはなかなか正直に話すことができず「冠婚葬祭関係」と言ってしまい、結婚式場に仕事が決まったと思い込まれてしまう。
当初は戸惑っていた大悟。仕事の内容が妻にばれてしまい、彼女は実家に帰ってしまった。はたして大悟は納棺師として、そして夫として人として、身近にいるかけがえのない人々の生と死に、どのように向き合えるのだろうか!?夫婦の愛、わが子への無償の愛、父や母、家族への想い、友情や仕事への矜持・・・日本映画を代表するスタッフ・キャストがユーモアを絶妙に散りばめて、愛すること、生きること、すべての人に普遍的なテーマに挑んだ異色の感動作!!

「納棺」というと、一昨年の祖母の葬儀のときに、通常の納棺にオプションで「湯灌の儀」もつけてもらったことを思い出します。湯を使って遺体を清め、装束を着せ、化粧を施す。旅支度ができた故人を棺に納める。葬儀社の社員が納棺師となってのものでしたが、紐を結ぶところは家族がするなど、通夜、葬儀が始まる前に家族がゆっくりと旅立ちの支度を手伝い、故人とのひと時をもつ・・・そんな時間のように感じられました。

チェリストから突然納棺師になってしまった大悟の戸惑いを描いた笑いのあるエピソード、大悟が出会ったさまざまな「旅立ち」・・・一度実家に帰ってしまった妻が戻ってきて、報告を受け、身近な人が・・・そして大悟が子供のときに別れたきりの、ただ1個の「いしぶみ」をくれた人との永遠の別れ・・・ストーリーは穏やかに進むのですが、バックに流れる久石譲さんのチェロが主役のメロディーとあいまって・・・山形の自然も美しいです。

そしてとにかく、主役の本木雅弘さんの「納棺師」の技がすごいのです。すべて芸術的なのです。
本木雅弘さんは、撮影のために現役の納棺師から特訓を受け、またチェリストでもあるために、山形ロケでは毎日のように自身は全く初心者のチェロも特訓していたそうです。自分が旅立たなければならないのであれば、本木雅弘さんのような納棺師に手伝いをしてもらいたいと思ってしまいます。

見終わって、しみじみとよい映画だと感じました。