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ジャック & ベティ

最近よく行く映画館と言えばほとんど「シネコン」ですが、ネットで席を抑えておけたりするし、何よりキレイで設備も整っているので親子で見に行くにも、はたまた1人でふらりと見に行くにも便利になりました。

そんな横浜に残っている昔ながらの「名画座」の1つが「シネマジャック&ベティ」

古くからの名画とミニシアター上映をしている映画館で、大手シネコンではなかなか上映されないような作品にも出会うことができます。

場所は、黄金町。イセザキモールのすぐそばにあるマンションです。この映画館、一度は潰れてしまったのですが、ファンの声もあり今のようなスタイルの映画館に生まれ変わったそうです。昔ながらの商店街のすぐ近くには風俗店も多くあり、夜はちょっと来るのに勇気が要りそうです。

映画館の中は薄暗いロビー、上映時間までスクリーンには緞帳が降りています。
椅子周りにはカップホルダーなんて洒落たものは付いていません。座るとバタンと倒れる椅子です。
なんかこの雰囲気、高校のころ見に行った映画館の雰囲気に似ています。千葉駅からちょっと歩いた栄町にある映画館や上野の映画館もこんな感じじゃなかったかな?上野の映画館はもう少し大きなホールだったけど。栄町は「暗くなったら行ってはいけません」と親からキツく言われていた場所でした。シネコンみたいに現代的で明るくはないんだけど、周りが薄暗いから映画が引き立つ…みたいな良さが昔ながらの映画館にはありますね。

で、その「ジャック&ベティ」に足を運んで見たのがコレです。


またもこの手の作品かー?!と眉をひそめられてしまいそうです。
6月に見た「JUNO」はアメリカの女子高生の妊娠と出産を扱ったものですが、今回は日本映画。しかも小学校5年生というなんともはや・・・の舞台設定です。
ロケは秋田県能代市で行われ、廃校になった小学校の校舎などがロケ地になりましたが「小学生の妊娠・出産」という内容の映画に、地元では撮影に対して反発の声も少なからずあり、また市議会も紛糾したとか。もうこういう題材はスルーしようと思っていたのですが、

とはいえ、やはり「小学生が妊娠する」という設定には眉をひそめてしまう人がいても不思議ではないが、業界内ではこの映画に対して批判的な声は聞こえてこないし、逆に全国のミニシアター系映画館の館主たちが構成する"シネマ・シンジケート"でも、「全国の映画館主が選ぶこだわりの1本」にも選ばれ、映画館側からも"観客に見てほしい映画"として評価を得ている。

という記事を見て、また主役に抜擢された甘利はるなさんがオーディションで選ばれた新人というのでまたも興味をそそられてしまったのです。しかしながら・・・このような映画ですので、なにしろ上映しているところが少ない。で、探したら「ジャック&ベティ」でやっていたというわけ。まあ・・・こういう映画はメジャーな作品のようにすぐにDVDになる、ってわけでもないと思うので。

小学5年生の春菜の担任は、東京からやって来た若い女の八木先生。性教育の授業に力を入れるべきだと考える八木は、同僚の反対を押し切って教室で妊娠の仕組みについて科学的に教えようとするが、春菜ははたと思い当たる。これってこの前仲良しのヒロユキとした“くっつけっこ”のことじゃないのかと。やがてお腹が丸みを帯び始め、春菜は小さな命の芽生えを実感するが、大人たちは誰もそのことに気づかない。春菜とクラスメートたちは、大人には気が付かれないようにお腹の中の命を守ろうとする。

見終わって正直。
何を言いたくて撮ったのか、私にはよく分かりませんでした。

そもそも、設定も医学的な背景も「ありえない」の一言に尽きます。


以下ネタバレですが、
いくら年齢的に大人たちがにわかに信じがたい状況であったとしても、出産のその日まで知らないということは到底ありえないと思うからです。
それから、産んでからのこと、子育てに対するハードルをどう乗り越えていくのか、まったく描かれていません。エンディング、常套句のように「○年後」に飛んでいました。
まあ、監督はこれらのことに対してリアリティをおくのではなく、ファンタジーとして描いているそうです。春菜の妊娠、出産という出来事に対して子供たちが驚くほどに一体となって成長していく姿を描くのが目的だったのですから・・・しかしだったら、こんなありえないような出来事を書くのではなく、もう少し別の題材で描けなかったのかなあ、とも思えるのです。
主役をはじめ、子役たちの演技がみんなすばらしかっただけに・・・考えてしまいます。

久々に「これはちょっと・・・」と辛口になっちゃう映画に遭遇しました。