As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

VOL-Net病理勉強会

今日の暖かさはいったい何なんだ~チョコレートも溶けてしまうではないか。

という今年のバレンタインデーですが、VOL-Netの勉強会のスタッフをしてきました。

今日のテーマは過去にも取り上げられたことのある「病理」です。
VOL-Netでは、過去2回、東京共済病院乳腺外科の馬場先生が講師の勉強会を開催していますが、今回は東海大学の梅村しのぶ先生をお迎えしての開催となりました。
梅村先生は病理医で、東海大病院では病理専門外来を開かれています。
通常、患者の立場ではなかなか病理医のドクターと接する機会がないのが現状です。

手術後の治療方針を決めるのに重大な資料となる病理診断報告書。
英語で書かれた小難しい書類の向こうに存在がチラつくだけで顔の見えない病理医。病理診断の結果は主治医である外科医を通して聞くことがほとんどだと思いますが、今日は初めて病理医のドクターの声をじかに聴くことができた貴重な機会となりました。
(ちなみに「チーム・バチスタの栄光」の原作者である海堂尊さんは病理専門医です)

講演は、病理医とはどんな仕事をしているのか?に始まり、そもそも乳腺とはどんな組織なのか、そしてメインの話題である「どんな癌細胞か見極める」に及んでいきました。
乳がんの組織学的分類、悪性度とは何なのか、ホルモンレセプターやHer2はどのように定量しているのか、…数多くの病理標本のスライドを見ながらの講演は、初心者にとっては少々専門用語が難しかったかもしれません。でも、難しい病理診断報告書を「自分の病気を理解するベストアイテム」に変える講演ではなかったかと思います。
休憩時間を挟んだ後の後半では、あらかじめ多く寄せられた質問事項の他、会場からの質疑応答が活発に行われました。最近ホットなトピックとなっている、微小転移やトリプルネガティブについての話題も取り上げられました。また、将来的には、遺伝子発現を調べることでよりリスクが分かる方法も開発されていくようです。
その後の懇親会は、勉強会の会場であった文京シビックセンターの託児室に娘を預けていたので参加せずに帰りましたが、話が尽きないで盛り上がっていたのではないかと思われます。

病理の話となると、免疫染色、メッセンジャーRNA、リアルタイムPCRによる遺伝子の検出・・・などなど、かつて生化学実験室で仕事をしていた私にとっては馴染み深い言葉が多く出てきます。
それらの世界と離れてから時間が経っているけど、今でもわくわくしながら聴いてしまう自分がいます。

そして・・・結局はお目にかかれないであろう私の病理標本。
今の銀座のクリニックには「文書で報告された病理結果報告書」しかありません。
プレパラートにした病理切片やホルマリン漬けのブロックは、松山の病院に保管されたままです。
2000年当時、ホルモンレセプターの発現についても今のような免疫染色での検出ではないですし、HER2の検出も簡易検査しかしていません。今では当たり前のような「組織学的異型度」についても調べていません・・・そんなんで大丈夫かと思っちゃうのですが、今では拠点が東京なので、主治医のK先生は文書の報告書をもとに、フォローアップをしてくださっています。

最後に、講演の終わりに寄せての先生の言葉を記したいと思います。

乳がんを患うこと。それは真剣に生きれること。
自分のために精いっぱい生きることが、同じ病気を患うほかの人のためにもなること。
自分のために、そして他の多くの人のために、思いっきり生きていこう。
淡々としながらも、患者としての生き方を暖かいまなざしで語られた先生の言葉に力がこもっていたのは、先生もまた自ら乳がんを体験されたことから生まれた言葉だったからだと思います。