プール
激しいアクションやサスペンスストーリーの対局をゆく「癒し系映画」
特に盛り上がるクライマックスがあるわけではなく、淡々と日常を描き出す作品が、女性を中心に支持を広げています。
この作品は「かもめ食堂」(2006)、「めがね」(2007)に続く小林聡美さん主演の癒し系ストーリーですが、監督は前2作(荻上直子)とは異なっています。
特に盛り上がるクライマックスがあるわけではなく、淡々と日常を描き出す作品が、女性を中心に支持を広げています。
この作品は「かもめ食堂」(2006)、「めがね」(2007)に続く小林聡美さん主演の癒し系ストーリーですが、監督は前2作(荻上直子)とは異なっています。
さよ(伽奈)はタイ北部、チェンマイのゲストハウスで働く母(小林聡美)を訪ねる。4年前、祖母にさよを預けて旅立った母は小さなプールのある場所で、オーナーの菊子(もたいまさこ)や手伝いの市尾(加瀬亮)らと楽しそうに過ごしている。そこにはタイ人の少年(シッティチャイ・コンピラ)も同居しており……。 漫画家の桜沢エリカが映画用に書き下ろした原作を、『ネコナデ』の大森美香監督が映画化したほのぼのとした癒し系人間ドラマ。タイの古都、チェンマイを舞台に、それぞれの事情を抱えた5人の男女の6日間の人間模様をさらりと映し出す。出演者も独特の空気感をまとう小林聡美やもたいまさこらベテラン勢に加え、若手実力派の加瀬亮や、新人の伽奈が見事なアンサンブルをみせる。自然体で生きる個性的な人々のシンプルライフが心地いい。
なぜ舞台がタイのチェンマイなのか、ゲストハウスといっても誰も泊まりに来ないんだけどどうやって生計をたてているのか…突っ込むのは野暮な気がします。「かもめ食堂」の時も「なんでフィンランドでおにぎりなんだよ~」って一瞬思ったけど、でもそんなことはどうでもよくなった・・・
独特の雰囲気をまとった小林聡美さん演じる京子さんと、もたいまさこさん演じる菊子さん。それに加瀬亮くん。何も事件が起こらない、プールがそばにある風景にサラリと溶け込んでいます。同居しているタイ人の少年がわずかに動きをもたらす、ただゆったりと、まったりとした空間に、4年前に祖母に預けられたという京子さんの娘さよが大学卒業を前にして訪ねてきますが…
母は、その道を選んだことを後悔していない。
自分がその時その時好きだと思った道を選んできた。
自分がその時その時好きだと思った道を選んできた。
でも、娘はこんな思いを抱えて生きてきた。
「いいことかどうか分からなくても、私は一緒に暮らしたかった。」
「いいことかどうか分からなくても、私は一緒に暮らしたかった。」
それに対する母の答えは「だって、仕方ないじゃない」
やっぱり、どうしても共感できない。
それでも小林さんのただあるがままの生き方は、彼女の歌とギターに乗せてプールがある風景に溶け込んで流れ去ってしまうようです。
淡々と流れるだけのストーリーに彩りを添える料理シーンは今回は控えめでしたが、カラッと揚がった揚げバナナ、食べたいですね。