ヴィヨンの妻～桜桃とタンポポ～

これも終わってしまう前に見なくちゃと思って。第33回モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞受賞作品です。

ヴィヨンの妻～桜桃とタンポポ～　監督：根岸吉太郎、主演：松たか子、浅野忠信

戦後の混乱期、酒飲みで多額の借金をし浮気を繰り返す小説家・大谷（浅野忠信）の妻・佐知（松たか子）は、夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、やがて彼女に好意を寄せる男も現れ佐知の心は揺れる。そんな中、大谷は親しくしていたバーの女と姿を消してしまい……。
2009年に、生誕100年を迎える文豪・太宰治の同名短編小説を、『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督が映画化した文芸ドラマ。戦後の混乱期を背景に、道楽ざんまいの小説家の夫に振り回されながらも、明るくしなやかに生きていく女性の姿を描く。逆境の中でも活力にあふれるヒロインには話題作への出演が相次ぐ松たか子、太宰を思わせる小説家に『モンゴル』などで海外でも評価の高い浅野忠信。さらに室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、堤真一ら豪華共演陣が脇を固める。

太宰治なら「走れメロス」が教科書に載っていたので読んだことがあります。
だけど「斜陽」は最初の数ページ読んだだけで終わってしまいました・・・朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、「あ」　と幽（かす）かな叫び声をお挙げになった。
このあたりで挫折してしまったんですね・・・

なので、この映画もほとんど原作を知らないままに見ることとなりました。

佐知さん、本当にしなやかに強く生きる女性だなぁと思いました。
戦後の混乱期、この時代を生き抜いた人々は柳のような強さを持っていますよね。
それに対して・・・大谷さんはきっと太宰治ってこんな小説家だったんだろうなと思えるくらいの自堕落ぶりで・・・何ゆえ怖いことばかりなのか、何ゆえに死にたいのか・・・なんだかそこが伝わってこなくて。でも結局心中もできなくて戻ってきて、佐知さんはそれでも彼と一緒に生きてゆくことを選びます。
それがきっと、愛なんだろうなと思うのですが・・・

私だったら、大谷さんとはとても一緒に人生生きていけないわ、と率直に思ったのでした。