As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

ゼロの焦点

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今週はいきなりバイト先の会議からスタート。月に1度のこの会議、朝から「いろんな意味で」エキサイティングなのでお昼に終わるころにはヘロヘロになります・・・

というわけで、先日見た映画です。家の近所の映画館でやっていたので、気負わずふらっと見にいきました。


結婚式から7日後、仕事の引き継ぎのため金沢に向かった鵜原憲一(西島秀俊)は帰ってこなかった。夫の消息を追い金沢へと旅立った妻の禎子(広末涼子)は、憲一のかつての得意先で、社長夫人の室田佐知子(中谷美紀)と受付嬢の田沼久子(木村多江)に出会う。一方、憲一の失踪(しっそう)と時を同じくして連続殺人事件が起きるが、事件の被害者はすべて憲一にかかわりのある人物だった……。
2009年に生誕100周年を迎える社会派ミステリーの巨匠、松本清張の同名傑作小説を映画化。結婚まもなく夫が失踪(しっそう)した妻が、その謎を追ううちに不可解な連続殺人事件に巻き込まれていく様を、『グーグーだって猫である』の犬童一心監督が描き出す。『おくりびと』の広末涼子、『嫌われ松子の一生』の中谷美紀、『ぐるりのこと。』の木村多江と、今最も輝いている3人の女優が競演。さらに西島秀俊杉本哲太鹿賀丈史といった実力派男優陣が脇を固める。

私はもともと松本清張の作品をあまり読むほうではありませんでした。
「社会派ミステリー」というジャンルのものよりも、いわゆる「吹雪の山荘で起こった密室殺人」のようなちょっとありえない状況で起こった事件を探偵役が名推理で解決する、といった志向のミステリーの方が好きだったからです。
だから、ゼロの焦点についても、原作を読んだかもしれないけど詳しいことは覚えていない、といった状態でした。結婚式からまもなく夫が失踪した、ということだけは覚えていたのですが、その先についてはほとんど思い出せないまま映画をみることになったのです。

結末を知らないで見始めたから、広末さん演じる禎子と一緒になってドキドキして物語の進行を見ていたのですが・・・舞台は今から50年以上前の昭和32年。まだ戦争の傷跡が見え隠れしている時代でした。
雪の金沢でいきついた事件の真相には、戦争がもたらした女性たちの悲しみがありました。
戦後まもない立川で、米兵を相手に身体を張って生きてきたけど、でもその過去を脱ぎ捨てて新しい時代を生きていきたい女性たちと、その時代を知っていながら、生まれ変わりたいと思っていた鵜原憲一の思いが、女性たちだけでなく、当時は当たり前だった「見合い」という結婚手段のために夫のことを何も知らなかった禎子にも悲劇をもたらしてしまうのです。

まさに社会派ミステリー、そして断崖絶壁のシーンはいかにも松本清張のミステリーの舞台なのですが、単なる謎解きではない、重みのあるストーリーでした。
そして、主役となる女性たちは体当たりの演技だったのですが、過去に何度も映像化されているこの作品、もっと古い時代の映像作品も見てみたいなという気分にさせられました。