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「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

病院薬剤師に聴くがん薬物療法の裏舞台

昨日は本当に風が冷たい1日でした。そして、小惑星?!ともいえそうな隕石が宇宙から飛び込んできたことに本当にビックリしました。衝撃波による被害は出ていますが、東京みたいな人が密集している都市部に落ちてきたらどんなことになってしまったんだろうと、想像するだけで怖いです。いくら科学が進んでも、人にはどうすることもできないことがあるのだと実感しました・・・
 


 
さて、いくぶん気温が上がった日曜日、VOL-Net主催の勉強会が久しぶりに開催されました
患者さん同士によるおしゃべりサロンである「プチVOLサロン」は定期的に開いていたのですが、座学の勉強会は、昨年夏の「10周年記念イベント」以来となりました。
そして、今回は講師に初めて「薬剤師さん」をお招きしました。神奈川県立がんセンター薬剤科の原田知彦さんです。原田先生は、ワタクシと大学卒業年が一緒でした。そして、タイトルの通り「病院薬剤師に聴くがん薬物療法の舞台裏」について語っていただきました。
 
薬剤師さんは、薬学部を卒業して国家試験に受かることで取得できる資格だということはご存知の方が多いことでしょう。でも、どこで活躍しているの?となると調剤薬局」「ドラッグストア」・・・最近は医療チームの一員として活躍の場を広げている薬剤師さんがいるのだ、ということをご存知の方は案外少ないのではないかと思います。
そして、私は製薬会社に勤めていましたが、薬剤師国家資格をお持ちの方が全員薬剤師として薬局や病院に勤めるわけではなく、製薬会社で研究開発スタッフやMR(医薬情報提供者)として活動されている方も多いです。私の同期入社の友人も薬学部卒の方が実際多かったです。
 
今日の勉強会では、「薬の効き方について」「副作用の仕組み」といった薬剤に関する知識についてまず触れられました。案外分かっているようでわかっていなくて、でもドクターにも聞きにくい分野だったりします。薬の体内動態のことをADMEというのですが、このあたりは元製薬会社員としては懐かしかったです。また、強い薬、弱い薬といったイメージを個々の薬剤に対して持つと思いますが、薬剤というものは適正に使用されなければ、どんな薬であっても危険なものになる可能性があるのだし、だからこそ裏舞台にいらっしゃる薬剤師さんの活躍が必要であるといえるわけです。
そして「薬剤師の仕事」についての話題へと移っていったのですが、調剤、薬剤管理、製剤業務、ドラッグインフォメーションなどの業務のほか(これらの業務は院外調剤薬局でも見られる光景です)、製薬会社と協力して行う治験業務や、院内薬剤師さん独自の病棟業務があります。薬剤師さんの病棟業務は、まだ全ての医療機関で標準的に行われているものではないのですが、薬剤師が医師と協働し、チーム医療の担い手として活動することは薬物療法をよりよいものにするために期待されています。医師の意図した治療が患者に適正かつ確実に実施されるようサポートしたり、薬剤師の介入によって患者さんの思いにより近づける処方になる可能性があります。がん領域では、がん指導薬剤師、がん専門薬剤師、認定施設等が整備されつつあります。
 
患者の立場からすると、治療について分からないこと、不安なことはまず医師に聞くと思いますし、治療方針を決定するのは医師です。外来治療では薬剤師さんは院内のどこにいらっしゃるかも分からない・・・調剤薬局にならいるけど、って思うかもしれません。でも、医師や看護師が患者さんに接して治療を決める時、チーム医療のメンバーに薬剤師さんがいます(というか、今後はどの病院でも参入してほしいですよね)。薬物療法の効果を最大限に引き出し、適正な環境を整備するための活動をしているのです。薬剤師さんに十分に活躍してもらうためには、もちろん医療チーム内で、医療者同士での意思疎通が大切なのですが、患者側も薬剤師さんまで伝わるように医師や看護師さんに話を聞いてもらえることが重要です。また、薬剤師さんと話ができる機会があればチャンスです。病棟でも、外来でも、院外調剤薬局でも・・・薬についてふと疑問に思うこと、不安に思うことなどを話してみることで、それが医療チーム内に伝わっていくことが期待できるでしょう。
 
休憩を挟んで後半はいつもどおりの質疑応答になりました。薬を飲む時間とか、ジェネリックについてとか、どんなことを相談したらよいのかとか・・・率直な疑問に先生の真摯な回答があって予定時間めいいっぱい使っての勉強会となりました。
その後はいつもどおりに懇親会・・・オーダーバイキングの中華料理のお店でもう食べられないほど食べて、飲んだのにリーズナブルでしたそして楽しい時間になりました。寒い中ご参加くださったみなさまと先生、ありがとうございました。
 
もう20年以上昔のことになっちゃうんですよね・・・実はワタクシは大学受験で薬学部も受験していたので、受かった時にギリギリまで悩んだものです。薬剤師の免許を取れば、たとえ会社勤めをして辞めたとしても、その後薬局で働くことができるよね、と。でも直感といいますか、薬剤師免許が取れなくても第一志望だった理学部の生物学専攻に行きたい、という思いの方が強かったので、生物学科に進んだのです。卒業して入社したのが製薬会社だったから、そのとき「薬学部を卒業しても変わらなかったかな」と思ったのです。製薬会社を退職した薬学部卒の社員がその後薬局に転職した、という話は在職中から当然舞い込んできたのですが、そうでなく退職してしまうと、ただの人になってしまいます。だから、もう退職してから9年になりますが、今私がバイトしているのは事務所の総務。学生時代に取得したのは教員免許状ですが、これは教員免許の更新に絡む制度の変更のためにいずれ失効する可能性が大なのです。こうなると、やっぱりあのとき薬学部に進んでいたら・・・と思わなくもないのですが、今さらどうこういってもしょうがないしね、直感を信じて良かったのだと思うようになっています。
私のアタマの構造は実は文系だったのでは?!と思う部分が多々あり、だから今の総務の仕事もあっているように思うし、過去に製薬会社にいたから薬のことも多少は分かる、というので良かったんじゃないかなー、と。
正直、科学者としてやっていく器量はワタクシにはありませんでしたが、生物学を専攻して遺伝の研究室にいたこと、製薬会社に勤めたことは「自分が病気と向き合うための武器」になったワケです。結果的に子育てに活かされてないわけでもないし、人生の経験や学んだことはどこかでついてくるだろうと思うのです。
 
明日は出勤日なんですよね、だから寝不足になっちゃうからもう寝ます。おやすみなさい