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エル・グレコ展

もう3月ですね~
昼間は曇っていたものの、それほど寒くありませんでしたが、夜になってから雨風が激しくなりました。三寒四温の日々が続きそうですね。

そんな中上野の東京都美術館に行ってきました(今日はパンダは見ていませんよ!)。お目当てはもちろんこれです。

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エル・グレコ展です。私はエル・グレコについては「名前は聞いたことあるなぁ…」くらいの認識でした。
でも、エル・グレコの回顧展を日本でやることはなかなかないし、新聞でかなり人出が多いと書いてあったので、あまりない機会だから行ってみることにしました。
出展されるのはエル・グレコの作品ばかり51点、チケットは1600円ですから少々割高の展覧会です。それだけ価値が高いのでしょう。私は例によって、バイト先の近くにあるチケットショップで少し安く入手していました。

東京都美術館に行くのは昨年夏にフェルメールが来た「マウリッツハイス美術館展」以来でしたが、あの時は平日なのに入るまでに30分並びました。今回はそこまでは混んでいなかったです。

今回出展された作品は比較的大型の絵が多く、一点ごとに額の周りにビロードっぽい外枠が設置されて、重厚な雰囲気になっていました。そして、ゆっくりじっくりと作品を見ることができました。

エル・グレコは16世紀から17世紀はじめにかけてスペインで活躍したギリシャクレタ島出身の画家です。近代絵画の祖を築いたと言われています。その作品のほとんどは宗教画と肖像画で、教会や聖堂の祭壇衝立に飾られた絵が多数あります。それら聖堂の建築にも携わっています。今回の展覧会でも、「聖母マリアの受胎告知」やキリスト降誕の時の「羊飼いの礼拝」、磔にされたキリストや聖パウロ、聖ヨハネといった聖書に出てくる聖人たちの画が多くありました。

もちろんエル・グレコ以前からそれらの宗教画は多くありました。ルネサンスの時代です。それらの作品とエル・グレコの描くキリストやマリア、聖人たちはあきらかに違っていました。聖人たちは聖人であるとともに人間として描かれ、エル・グレコの時代の人々とも生きていた時代が違うのに、同時代に生きる人々のようにも見えました。

また、この展覧会では要所要所に「ジュニアガイド」がありました。子供でも分かりやすいように絵の解説をしてあるのです。これが案外大人でも分かりやすく、ガイドを読んでから絵を見るといっそう理解が深まる感じがしました。

最後に出てきたのが、写真にもアップした「無限罪のお宿り」です。エル・グレコが亡くなる前年に完成した、高さ3メートル以上にも及ぶ圧倒的な大作です。
無限罪のお宿りとは、クリスチャンでなければなじみがないと思いますが(私も初めて聞いた言葉だった)聖母マリアは汚れなき存在であり、「情欲の交わりなしに」、母アンナの体 に宿った、つまりマリアは原罪を免れたという教義だそうです。

教義については深くは理解できないのですが、作品の力強さといいますか、圧倒的な存在感、パワーに打たれてしまった感じでした。

そして、エル・グレコの宗教画を見ていると、今度は同じ上野の国立西洋美術館で「ラファエロ展」をやるので、こちらもまた見たいなぁと思ってしまいますね。