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清須会議

秋は見たいな~と思う映画が多いですね。
という訳で、実は三谷幸喜作品は初めてなのでした。
 
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本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家役所広司)と羽柴秀吉大泉洋)が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝(坂東巳之助)、秀吉は次男の信雄(妻夫木聡)を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市鈴木京香)、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく。
数々のヒット作を作り出してきた三谷幸喜が、およそ17年ぶりに書き下ろした小説を自ら映画化した群像喜劇。本能寺の変織田信長が亡くなった後、織田家後継者と領地配分を決めるために、柴田勝家羽柴秀吉らが一堂に会した清須会議の全容を描く。役所広司演じる勝家と大泉洋ふんする秀吉の主導権争いを軸に、それぞれに思惑を秘めた登場人物たちが駆け引きを繰り広げていく。そのほか佐藤浩市妻夫木聡浅野忠信西田敏行ら豪華キャストが勢ぞろいする。

これまでの三谷作品に親しんだ人だと、今回はちょっと勝手が違うように思ってしまうかもしれないです。
私が何故これまで三谷作品を見ないできてしまったのか…多分それは「コメディ」であると最初から謳っているので、ストーリーよりも笑う場目に集中していかないと、とヘンに頭の中で決め付けてしまっていたり、なおかつその笑いが「分かる人だけ分かれば良い」ものだった場合、映画を見ている観衆の中での自分の立ち位置はどうなってしまうのだろう?と思っていた部分があったように思います(文字にしてみるとなんだか大げさな・・・という感じですよね)しかし今度は初の時代劇、キャストも大物俳優さんが次々と出てくる、というシチュエーションなので、これまで三谷作品と距離を取ってきてしまった自分が見るにはちょうど良いかな?と思えたのでした。
 
戦国時代の話、といってもつきものの戦や殺陣のシーンはほとんどありません。
そして、秀吉が「ぶっちゃけ」とか言っちゃうので、時代劇っぽくありません(笑)
それなのに、お市さまと松姫さまだけが当時のメイクに忠実で、麻呂眉毛に鉄漿だったりするので、ヘンな臨場感が出てくるのも、コメディ要素のひとつなのだと思います。
 
信長亡き後の織田家家督をだれが継ぐのか・・・そのテーマをめぐって狭い清須城にあつまった面々の間で、どっちの派閥につくかの群像劇が繰り広げられるわけです。あっちへフラフラこっちへフラフラしているヤツもいれば、最後にあっと驚くどんでん返し(ネタばれ失礼!小日向文世さん)もあったりするわけです。人間味あふれるそれらのやり取りが、現代にも通じるものがありそうで、実に見ていて面白かったです。ムリヤリ笑わせようとしている感はほとんどなく、ついつい笑ってしまう感じでした。そして、俳優さんたちが見事にハマっていたんですよね・・・主役の秀吉と勝家はもちろんですが、バカ殿様を演じた妻夫木くんがもう最高でした!まだ彼の直江兼継が脳裏に残っていただけに、ギャップが面白かったです。
 
このあたりの歴史は大河ドラマでも散々おなじみなので、この清須会議の後で秀吉や柴田勝家がどういう結末を迎えるのか、見ている方はわかってしまっているからこそ、映画が会議とともに終わったのでよかったと思います。そして、清須会議周辺の歴史の知識がまったく無い状態でこの映画を見ても、ちょっとキビシイかもしれないですね。秀吉、勝家、お市の関係がざっくりとでも分かっていないと笑えるツボを逃してしまいそうです。
 
ちなみに、この清須会議織田家の跡継ぎと決まった「三法師」はその後秀信となり、秀吉に仕えてキリシタン大名となり、関が原の戦いでは西軍につきます。その後改易処分を受け、今度は高野山に送られますが追放され、郷士となり土地に根を下ろします。子孫は今でも健在だそうです。
 
そして、この清須会議に出てこなかった信長の七男信高の系譜が、関が原では東軍についたこともあり、江戸時代には旗本の家系として存続しているわけです。フィギュアスケート織田信成選手は、こちらの家系の末裔と言われています。