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WOOD JOB!神去なあなあ日常

昨年の「舟を編む」以来、三浦しをんさんの小説にハマってしまったのですが、もちろんこちらも原作を読んでいまして、映画化されたと知ってさっそく見に行きました。

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大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気(染谷将太)は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキ(伊藤英明)のしごき、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが……。
 『ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を送り出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。あるきっかけで山奥の村で林業に従事することになった都会育ちの若者が、先輩の厳しい指導や危険と隣り合わせの過酷な林業の現場に悪戦苦闘しながら、村人たちや自然と触れ合い成長していく姿を描く。『ヒミズ』などの染谷将太をはじめ、長澤まさみ伊藤英明、ベテラン柄本明らが共演する。

「敢えて原作は読まない」で映画を見ることが日頃は多いので、やはり原作を知っていると、どうしても細かい設定が原作と違っていることが目についてしまいます(例えば主人公は、原作では自ら緑の研修生に申し込んだのではなく、高校の先生がいつの間にか申し込んでいた、とか主人公の高校が大学受験を目指すというよりは、ヤンキーばかりだったとか。それに神去村に行く前の研修が原作では主人公一人が数日間受けただけであった)あとは映画に登場してきたキャラクターが自分の脳内でできあがっていたキャラとは違うな、ということも考えてしまいます。でも、それらの「ちょっとチガウんだよね・・・」をもってしても、ウォーターボーイズを描いた監督さんによって仕上げられた「神去村」はとっても楽しめる神去村になっていました。

見ているだけでマイナスイオンをたくさん浴びたようになる画面、実際に木を伐採しながら撮影しているリアリティ、仕事としての林業紹介でもなく、主人公の「成長」に重きをおいた作品でもなく、あくまでエンターテイメント素材としての林業へのスポットライト、だから山の男たちの姿も少しだけ盛り込んだエッチな要素も自然に物語に溶け込んでいて面白かったです。
ハイライトとなる「オオヤマヅミさんのお祭り」のシーンはいったいどうやって描くのかと楽しみだったのですが、原作通りの画面にするならば、きっとCGでないとできないと思っていたところ、あくまで「実写」にこだわった画面、それは原作とは少々異なっていましたが実写することができて良かったなぁと思えました。撮るのはものすごーく大変だったと思うけど。
映画だけでも十分面白いのですが、三浦しをんさんは妄想のツバサをはためかせて書き上げた文章がとりわけ面白い作家さんですので、ぜひ原作も読んでいただけたらと思います。ちなみに都会育ち、カトリック中高一貫校で少女時代を過ごした彼女がなぜ「林業」をテーマの作品を書いたのかというと、彼女の父方の祖父がまさにこの神去村のようなところで林業を営んでいたというのも理由であったと思われます。