As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

紙の月

12月になったら、どうしてこんなに寒いのでしょう!
流行語大賞も決まりましたが、「ダメよ~、ダメダメ」は我が家ではあまり、というかほとんど使わなかったので、イマイチピンときませんでした。
やっぱり「号泣議員」とか「STAP細胞はあります」とかの方がツボったかな(笑)

そして今日の朝「アドベンチャーワールドで双子パンダが誕生した」と知って「わーい」となったのですが、そのニュースは午後になってすぐに「はやぶさ2打ち上げ成功」の影に隠れて見えなくなってしまいました。

さて、この作品も見てからもう1ヶ月近く経ってしまいました。

イメージ 1

紙の月 監督:吉田大八 主演:宮沢りえ池松壮亮小林聡美

バブルがはじけて間もない1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花宮沢りえ)は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、上司や顧客から信頼されるようになる。一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまい……。
銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、『八日目の蝉』の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説を映画化。まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。監督は、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八。年下の恋人との快楽におぼれ転落していくヒロインの心の闇を、宮沢りえが体現する。

角田光代さんの作品はNHKでドラマ化すると不思議と似合うと思うのですが、この作品も「八日目の蝉」と同様に、まずはNHKの火曜夜10時からのドラマになり、そして映画化されました。そして私はどちらともドラマは見ずに映画のみ見たことになります。

まずは画面をパッと見て、
宮沢りえちゃんが中年の主婦に扮しているのがすごく自然だった」
というのがなんだか衝撃でしたその平凡な主婦で契約社員だったりえちゃんが、ふとしたことからお客さんのお金に手をつけ気がつくと巨額の横領をしていて、贅沢と快楽におぼれていくのです・・・大学生といきなりベッドインしてしまうシーンはムリヤリ、不自然さも否めませんでしたが、それは些細なことに見えてしまいました。
彼女がやっていることは明らかに犯罪で、それには同情の余地はないのですが、他で見た映画評にも書かれてあったのですが、それなのに清純に見えてくるのです。
それは、誰もが一歩踏み間違えたら彼女と同じような行動を取ってしまう危うさをはらんでいるからでしょうか?

私は原作を読まずに映画を見たので、銀行内での人間関係は自然と受け入れられましたが、原作には小林聡美さん演じる隅さんや大島優子ちゃん演じる窓口係は出てきません。そこが賛否両論にもなってしまったと思いますが、不自然なお金の動きに気がついた小林聡美さんの演技は、作品全体をピリッと引き締めていたように感じます。
作品の終盤、会議室で対峙する宮沢りえちゃんと小林聡美さん。そこから一気に疾走へと向かっていくのです。現実にはありえないから、なんだか見ていてすがすがしかったです。

主人公が横領を繰り返してお金におぼれていく中で、たびたびフラッシュバックするのが、ミッション系の女子校と思われる中学に通っていたときの募金をめぐるエピソードです。そして、疾走のシーンでBGMに流れるのは、クリスマスの賛美歌-

私はこの作品の前に「まほろ駅前狂騒曲」も見ていますが、こちらの原作者である三浦しをんさん、そしてこの作品の原作者角田光代さんは、お2人とも横浜のミッション系中高一貫の女子校を卒業されています(学校は別々です)。その後偶然にもお2人は早稲田大の文学部に進まれていますが、この秋2つの作品を見て、流れる空気の違いは、お2人の女子校時代を反映しているのではないか?と思ってしまったのでした。映画化されれば、当然監督によって作風は違ってきますので、そうではないかもしれませんけどね。