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トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~

これもだいぶ前に見たので忘れないうちに。私が気が向くと行く「横浜そごう美術館」での企画展でした。
(横浜では11月までの開催で、今は北海道の帯広美術館で開かれています)

トーベ・ヤンソンと聞いただけでは恥ずかしながら誰のことかわからなかったのですが、「ムーミン」の原作者と聞いて、思わずチケットを買ってしまったのでした。

フィンランドの女流画家であり児童文学者であるトーベ・ヤンソン生誕100周年にあたり、フィンランド国立アテネウム美術館で開催の回顧展(2014年3月~9月)を日本向けに再構成した展覧会です。

日本では「ムーミン」の原作者として知られているトーベ・ヤンソンですが、彫刻家の父と挿絵画家の母を持ち、幼い頃から絵を描いていました。その頃の貴重な素描画もいくつか展示されていました。そして成長したトーベはストックホルム芸術大学や、ヘルシンキアテネウム美術学校で絵画を学び、やがてスウェーデン語系の政治風刺雑誌「ガルム」に、多くの挿絵を寄せるようになります。
その時に、彼女がサインの代わりとして描いていたキャラクターがあったのですが、「ムーミントロール」と名前をつけたこのキャラクターを主人公として物語「小さなトロールと大きな洪水」を1945年に出版しました。これが記念すべき「ムーミン」の第一作です。ムーミンシリーズは大好評を博し、物語の他に連載漫画がスタートしますが、線描画主体のムーミンシリーズ以外にも個展を開催するなど、絵画制作にも力を注いでいました。

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この企画展の最大の目玉がムーミンの原画の数々でしょう。すごく細いけどしっかりしたタッチの線描画が印象的でした。

ムーミンの連載漫画は1959年に1度終了しますが、その後のトーベは絵画制作に専念し、抽象的な手法も取り入れるようになります。1970年代に入ると、再び絵画だけに集中することはできなくなっていき、1975年の「自画像」は彼女の最高傑作の1つであるとともに、集大成であったと思われます。また、ムーミンの連載漫画は彼女の弟のラルスが引き継ぎましたが、トーベはムーミン絵本の製作に力を注ぎました。
そして、人生のパートナーであるトゥーリッキ・ピエティラとともにムーミン屋敷の模型製作にも取り組むようになるのです(ちなみに、トゥーリッキ・ピエティラは女性です)。
この展覧会では、トーベが1964年にクルーヴ島(ハル)という小さな島を借り受け、ひと部屋だけの小屋を建てて、1991年までトゥーリッキ・ピエティラと毎夏をすごしていた「夏の家」も再現されていました。

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トーベは2001年に亡くなるまで、絵画に限らず小説など精力的に創作を続けました。ムーミン以外にも「ホビット」や「不思議の国のアリス」の挿絵なども描き、またムーミンは日本でアニメ化され、他にもいろいろな展開を見せています。ムーミンカフェもありますよね。

実は我が家には「ムーミン」の絵本はありません。今度きちんと買ってみようかな。