トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~
これもだいぶ前に見たので忘れないうちに。私が気が向くと行く「横浜そごう美術館」での企画展でした。
この企画展の最大の目玉がムーミンの原画の数々でしょう。すごく細いけどしっかりしたタッチの線描画が印象的でした。
(横浜では11月までの開催で、今は北海道の帯広美術館で開かれています)
日本では「ムーミン」の原作者として知られているトーベ・ヤンソンですが、彫刻家の父と挿絵画家の母を持ち、幼い頃から絵を描いていました。その頃の貴重な素描画もいくつか展示されていました。そして成長したトーベはストックホルムの芸術大学や、ヘルシンキのアテネウム美術学校で絵画を学び、やがてスウェーデン語系の政治風刺雑誌「ガルム」に、多くの挿絵を寄せるようになります。
その時に、彼女がサインの代わりとして描いていたキャラクターがあったのですが、「ムーミントロール」と名前をつけたこのキャラクターを主人公として物語「小さなトロールと大きな洪水」を1945年に出版しました。これが記念すべき「ムーミン」の第一作です。ムーミンシリーズは大好評を博し、物語の他に連載漫画がスタートしますが、線描画主体のムーミンシリーズ以外にも個展を開催するなど、絵画制作にも力を注いでいました。
この企画展の最大の目玉がムーミンの原画の数々でしょう。すごく細いけどしっかりしたタッチの線描画が印象的でした。
ムーミンの連載漫画は1959年に1度終了しますが、その後のトーベは絵画制作に専念し、抽象的な手法も取り入れるようになります。1970年代に入ると、再び絵画だけに集中することはできなくなっていき、1975年の「自画像」は彼女の最高傑作の1つであるとともに、集大成であったと思われます。また、ムーミンの連載漫画は彼女の弟のラルスが引き継ぎましたが、トーベはムーミン絵本の製作に力を注ぎました。
そして、人生のパートナーであるトゥーリッキ・ピエティラとともにムーミン屋敷の模型製作にも取り組むようになるのです(ちなみに、トゥーリッキ・ピエティラは女性です)。
この展覧会では、トーベが1964年にクルーヴ島(ハル)という小さな島を借り受け、ひと部屋だけの小屋を建てて、1991年までトゥーリッキ・ピエティラと毎夏をすごしていた「夏の家」も再現されていました。
トーベは2001年に亡くなるまで、絵画に限らず小説など精力的に創作を続けました。ムーミン以外にも「ホビット」や「不思議の国のアリス」の挿絵なども描き、またムーミンは日本でアニメ化され、他にもいろいろな展開を見せています。ムーミンカフェもありますよね。
実は我が家には「ムーミン」の絵本はありません。今度きちんと買ってみようかな。