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青島広志先生講演会

先日、作曲家(でありピアニスト、指揮者)の青島広志さんの講演を聴く機会がありました。
テレビでは「題名のない音楽会」や「世界一受けたい授業」などに出演されていらっしゃいますが、もちろん実際にお会いしてお話を聴くのは初めてです。
そして、私は講演が始まるまで、フツウの講演会かと思っていたら、テノール歌手の小野つとむさんがご同伴で、青島先生がしゃべってピアノを弾きまくって、小野さんが歌って・・・というおしゃべりコンサートとなっていました。
青島先生の講演会は、子供向けのものももちろんあるのですが、今回は大人ばかりが対象で、音楽とは一見関係のなさそうな企業社会であっても、ヒトとヒトを結びつける音楽の力はすばらしいものであるので、ぜひ企業のイベントでも音楽を聴いてみて、活用してみてください、とおっしゃっていました。

そして、講演会のために青島先生がセレクションされた全21曲
曲の背景や作曲家のエピソードを話された後で、先生がピアノを弾き、小野さんが歌います。その中には日本の童謡もいくつか含まれていて、会場のみんなで歌いました。先生のしゃべり方はとにかく早口で息継ぎもせずにバーっとしゃべる感じなのですが、ついていけないわけでもなく、思わず笑ってしまうエピソードも多く、話と音楽に惹き込まれていきました。

『野ばら』の作曲者のシューベルトは大変貧しく、レストランに行っても値段の高いものを食べられなかったから腐った魚を食べてチフスにかかって亡くなった(享年31歳)。

エリーゼのために』はベートーヴェンの有名なピアノ曲。彼は生涯独身で死後に作品が見つかった。結婚まで考えていながら結局は別れてしまった恋人のエリーゼ(実際のベートーヴェンの彼女の名前は「テレーゼ」なので、おそらく誤植等で「エリーゼ」になってしまったものと思われる)にささげた曲なのだろう。誰でも知ってるその曲調は会えなくなってしまった彼女を思う寂しい気持ちや楽しかった思い出を表すものとなっている。

「きらきら星変奏曲」はモーツァルトが当時流行っていたフランスの歌をベースに12の変奏を付けていったもの(当時この曲には現在の「きらきら星」とは違う歌詞がついていた)。その変奏(アレンジの仕方)について、1つずつ解説を加えながらの実演となりました。

「ブルグミュラー」はピアノの本の名前ではなく、作曲者名。「バイエル」や「ツェルニー」についても同様の誤解をしているヒトがいるので注意。ブルグミュラーが貴族の奥方たちにピアノを教えていたときに練習曲として書いた曲集が現在でもバイエルの次の教則本として使われている「ブルグミュラーの25の練習曲」であるが、成り立ちからいって「子どものために」書かれた曲集ではないその中の「さようなら」は彼女とのすったもんだの別れの顛末を描いた曲であるし、「なぐさめ」には「媚びるように」を意味する演奏上の注意が書かれている。これだけでも子供向けの曲集でないことは明らかであろう。

ショパンの「小犬のワルツ」に出てくる小犬の種類はパピヨンではないかと言われている(この犬を飼っていたのは恋人のジョルジュ・サンド)。

プッチーニのオペラ「トゥーランドット」は「フィギュアスケートの曲」と思われているが、決してそうではない。(トゥーランドットの詳しいあらすじ等については、ウィキペディアを参考にしてください)

他にもたくさんのエピソードと曲が紹介されながら、あっという間に2時間の「コンサート講演」が終わってしまいました。
企業や仕事とは直接関係のない話ばかりだったかもしれません。でも、音楽のエッセンスが詰め込まれた講演には、音楽っていいものだからもっと聴いてみたいと思わせる癒しの力があったと思います。