くちびるに歌を

GWが始まりましたね。初夏を通り越して夏になってしまいました。

さて、映画のレビューですが、春休みに見た作品のことをまだ書いていませんでした。

くちびるに歌を　監督：三木孝浩　主演：新垣結衣、木村文乃

産休を取ることになった親友の音楽教師ハルコ（木村文乃）の代理として、生まれ故郷の五島列島にある中学の臨時教師となった柏木（新垣結衣）。天賦の才能を持つピアニストとして活躍したうわさのある美女だが、その性格はがさつで乗り回す車もボロいトラック。住民たちの注目を浴びる中、彼女はコンクール出場を目標に日々奮闘している合唱部の顧問に。そして部員たちに、課題として15年後の自分に宛てた手紙を書かせる。やがて、部員たちがつづった手紙から、それぞれが抱える苦悩や秘密が浮き上がってくるが……。
シンガー・ソングライター、アンジェラ・アキの名曲「手紙　～拝啓　十五の君へ～」を題材にしたテレビドキュメントから着想を得た中田永一の小説を実写化。輝かしい才能を持つピアニストだった臨時教員の女性が、生まれ故郷の中学校の合唱部顧問として生徒たちと心を通わせていく。メガホンを取るのは、『ソラニン』『ホットロード』などの三木孝浩。『ハナミズキ』などの新垣結衣がヒロインにふんし、その脇を木村文乃、桐谷健太ら実力派が固める。オールロケを敢行した長崎の風景も見もの。

「ソロモンの偽証」に続く中学生モノ、しかも「合唱コンクール」に「～拝啓　十五の君へ～」がテーマという、もう王道中の王道みたいな作品でした。

離党の中学校に産休代理の臨時音楽教師として赴任してきた、ピアノが弾けなくなった美人ピアニストという設定もいかにもな感じです。そして生徒はそれぞれ事情を抱えていて、生徒と共に教師も成長し、恋人の死を受け入れ「逃げなく」なって、再びピアニストに戻るために島を離れていく…もう本当に安定感バツグンのストーリーです。
クライマックスとなるコンクールのシーンでは、産休に入った先生が出産が始まったためにコンクールを見にこられなくなり、しかも持病の心疾患のために危険な状態になる(そして無事に生まれる）という、これも想定の範囲内のエピソードが盛り込まれます。

それでもマンネリ感を感じずに、爽やかな感動に包まれてしまうのは、やはり歌の力ではないでしょうか？
中学校の合唱コンクールって女子校ならまだしも、男子がいるとちっとも真面目に取り組んでくれなくて、リーダーの女子がキーっとなるのがお約束ですが、始めは声を出すのも恥ずかしがっていた男子がいつしか真剣になって、ひとつのものを作り上げる、大人になったらそのことの素晴らしさをシミジミ感じてしまうから、今を生きる中学生の姿に当時の自分を重ね合わせて感動してしまうのだと思います。