As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

日本のいちばん長い日

この度の大雨は大変な被害をもたらしました。
横浜もそれなりには降りましたけど、鬼怒川が決壊して一面海のようになってしまうなんて、想像もできなかったと思います。
被災された方々に心からお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧をお祈りします。

さて、この作品はお盆明けに見に行ったのですが、やはり戦争がテーマの作品なので年配のお客さんばかりでした。

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日本のいちばん長い日 監督:原田眞人 主演:役所広司本木雅弘

1945年7月。太平洋戦争での戦況が悪化する日本に対して、連合軍はポツダム宣言の受託を迫る。連日にわたって、降伏するか本土決戦に突き進むかを議論する閣議が開かれるが結論を一本化できずにいた。やがて広島、長崎に原爆が投下され、日本を取り巻く状況はさらに悪くなっていく。全国民一斉玉砕という案も取り沙汰される中、阿南惟幾陸軍大臣役所広司)は決断に悩み、天皇陛下本木雅弘)は国民を案じていた。そのころ、畑中健二少佐(松坂桃李)ら若手将校たちは終戦に反対するクーデターを画策していた。
半藤一利のノンフィクションを基にした群像歴史ドラマ大作。太平洋戦争での日本の降伏決定から、それを国民に伝えた玉音放送が敢行されるまでの裏側を見つめていく。メガホンを取るのは、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』などの原田眞人。キャストには『わが母の記』などの役所広司、『おくりびと』などの本木雅弘、『ツナグ』などの松坂桃李ら実力派が集結し、昭和天皇阿南惟幾陸相をはじめとする実在の人物を熱演する。身をていして現在の平和の礎を築いた人々の思いに引き込まれる。

個人的に「モッくんの昭和天皇」が気になったのと「松坂桃季くんが出る!」というので見に行ったのですが…
(桃季くんは、終戦記念日のフジテレビでやっていたドキュメンタリーにも出演していました)

戦争モノのドラマや映画は多数ありますが、これまで良く目にしてきたのは「戦争を体験した一般国民側」から見たものや「組織に属した軍人」から見たものでした。空襲、原爆、悲惨な戦場…当然このような光景が多く映ります。しかしこの作品は「戦争を終結させた当時国を動かしていた政府要人と宮中」が主役となったのです。
すぐそばまで焼け野原が広がっているのに、皇居や首相官邸だけが焼けずに残っているのです。そして街にはボロをまとった人々が喘いでいるのに、この物語の主要な登場人物はきちんとした服を着て、運転手付きの車に乗り、大きなお屋敷に住んでいるわけです。そのギャップにとても驚きました。松坂桃季くん演じる若手の将校も陸軍本部に詰めていて、一億総決起とか言ってるだけ。現場を知らずに何を言うのかと思ってしまいました。でも彼らをそこまで突き動かしてしまったのが戦争です。下から突き上げられる阿南陸軍大臣、陛下の思いを分かっているからなんとか終わらせたい、これを人生最後の大仕事にしたい鈴木貫太郎首相、戻りたくても止まれない要人達のギリギリの攻防戦が繰り広げられていきました。

そのような中、普段の日常と一見変わらないような宮内省の侍従たち。陛下のお子さまたちが疎開している塩原と東京を往復している現状に、これでいいのかと思いつつ、それが彼らのなすべきことなんですよね。今の天皇陛下も当時は内親王たちと一緒に塩原の温泉に疎開していました。その時父である昭和天皇が何を思い、どう決断したのか…分かっているから、国民をまず第一に思う今の陛下がいるのだと思います。

あの状況下で終戦を決断し、クーデターを起こそうとした若手軍人から玉音放送のレコードを守ったからこそ、今日の日本があるのでしょう。安保法案で揺れる今の日本は、戦争を本当に知らない世代になってしまったんだなと思います。