As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

エール!

パリで起こった同時多発テロ、あの9.11テロが起こった時のような衝撃を受けました。
多くの命を無差別に奪うテロとそれに報復するかのような空爆・・・かつての戦争の歴史のように、人類はいつまでも同じことを繰り返してしまう宿命なのでしょうか。

さて、私はもともとそれほど洋画を多く見る方ではなく、ましてフランス映画を見る機会はあまりないのですが、この作品は予告編を見たときから妙に気になっていましたので、さっそく見ることにしました。

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エール! 監督:エリック・ラルティゴ 主演:ルアンヌ・エメラ

フランスの片田舎の農家であるベリエ家は、高校生の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、全員が聴覚障害者。ある日音楽教師トマソン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を認められ、パリの音楽学校で行われるオーディションを勧められたポーラは喜ぶものの、歌声を聴けない家族から反対される。家族のコミュニケーションに欠かせないポーラは、考えた揚げ句……。
歌の才能を認められパリの音楽学校のオーディションを勧められた少女と、聴覚障害のある家族との絆を描いた感動作。最愛の家族を支える役目と自らの夢の間で揺れ動くヒロインを、新人ルアンヌ・エメラが好演し、セザール賞最優秀新人女優賞に輝いた。『プレイヤー』などのエリック・ラルティゴ監督がメガホンを取り、『しあわせの雨傘』などのカリン・ヴィアール、『タンゴ・リブレ 君を想う』などのフランソワ・ダミアンらが共演。

フランス語での原題は「LA FAMILLE BELIER」(英語で「THE BELIER FAMILY」つまり「ベリエ家」)これがどうして「エール!」という邦題になってしまったのかは分かりません・・・
フランスで700万人を動員する大ヒットとなった、というのが分かるような、爽やかな余韻を残す作品でした。
聴覚障害を持った一家に生まれたただ一人の健常者である主人公は、幼い頃から家族の耳となって、その仕事や生活を支えています。「自分は家族の為に生きなくてはいけない」と思い、また彼女に支えられる家族も彼女あっての自分たちだと思っています。そんな一家の均衡が、彼女が学校で出会った音楽教師にパリでのオーディションを勧められたことから崩れていく・・・彼女は初めて自分のための人生を生きたいと思うのに、その夢は「歌」という聴覚障害を持った家族にはどうしても共有することのできないことで、家族もまた彼女を手放すことを反対する・・・でも彼女の歌を家族は聴くことは叶わないのに、オーディションを目前に控えた校内のコンサートを見たとき、確かに伝わるものがあったのです。そのシーンで取り入れられた「音」がとても効果的で、想いが伝わってきて、ぐっときました。
障害を持つ家族と健常者、という福祉的な観点にとらわれがちな話ではなく、高校生の主人公ポーラの学校生活、友人、ボーイフレンドとの関わりなど、青春コメディーとしても楽しめたのですが・・・さすがフランスのお国柄だと感じさせる部分もいくつかありました。

だって・・・ポーラが友人を家に連れてきて自分の部屋に2人でいたら、隣の部屋で両親が真昼間からベッドインしてるとか、ボーイフレンドの前で初潮が来たとか(そもそも、フランス人で高校生になって初潮がまだ、という設定がびっくりぽんだ)、ポーラが両親のかかりつけ医に手話の通訳として付いて行って説明するのが膣炎だからSEX禁止だとか・・・音楽の先生がクリスマスの合唱祭で歌わせる課題がフランスの有名な歌手、ミシェル・サルドゥの名曲・・・大人向けの恋の歌・・・日本の中学生や高校生が学校で歌うシーンはちょっと想像がつかない・・・こういうところがフランスなんだろうな・・・という間違った妄想をしてしまいました。