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沈黙 -サイレンス-

受験からずっと休む暇がなかったせいか、少々体調を崩してしまっていましたが、その分心置きなくテレビでスケート観戦をしておりました。

いやはや、若手の台頭に世代交代を感じた四大陸選手権でしたね~
特に男子の超絶技がもうスゴすぎて。
ちょっと前だったら「ユヅしかできない」技だったのにみんながこなしてくる。しかもみんな若い。あっという間に来年はオリンピック。楽しみですね~

さて、久しぶりの映画レビューです。今年最初のスクリーン鑑賞です。

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沈黙 -サイレンス-  監督:マーティン・スコセッシ

江戸幕府によるキリシタン弾圧が激しさを増していた17世紀。長崎で宣教師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕まって棄教したとの知らせを受けた彼の弟子ロドリゴアンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、キチジロー(窪塚洋介)の協力で日本に潜入する。その後彼らは、隠れキリシタンと呼ばれる人々と出会い……。
遠藤周作の小説「沈黙」を、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などの巨匠マーティン・スコセッシが映画化した歴史ドラマ。17世紀、キリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる江戸時代初期の日本を舞台に、来日した宣教師の衝撃の体験を描き出す。『アメイジングスパイダーマン』シリーズなどのアンドリュー・ガーフィールドをはじめ窪塚洋介浅野忠信ら日米のキャストが共演。信仰を禁じられ、苦悩する人々の姿に胸が痛む。

私は学生の頃、遠藤周作さんの本を結構読んでいました。
最初は「ぐうたらシリーズ」などの軽妙なコメディタッチのエッセイばかり読んでいたのですが、シリアスな小説も読むようになりました。「おバカさん」「わたしが、棄てた、女」「深い河」等が印象に残っています。しかし「沈黙」はこれまで読んだことがなかったのです。

上映時間2時間半を超える長丁場でしたが、作品の重厚な雰囲気にのまれ、あっという間に時間が過ぎていきました。
そして作品の主題でもある「日本人とキリスト教」についてとりとめもなく考えていました。
日本人は宗教に対する意識が希薄だと言われますが、私自身日常生活に信仰を意識することはありません。何となくお正月には初詣に行き、お葬式は仏式、厄よけやお祓いは何となくやっておこうと思い、12月にはクリスマスで盛り上がっちゃう節操の無さです。信仰に基づくものではなく、その空気を楽しむ為にそういう行事に参加しているようなものです。
そして日本には八百万の神さまがいる、自然の中にも神さまがいる、ヒヨコの神さま(オオトリさま)だっているのだという感覚が何となく自然に染み付いてしまっています。
もちろん美術館でキリスト教の宗教画を見たりするし、ウェストミンスター寺院ノートルダム寺院の見学もしたことがありますが、そこにいる神は、クリスチャンにとっての唯一人の神ではなく、あまたの神のうちの一人といった感覚です。

だから物語の中で井上筑後守が言った言葉が心にストンと陥ちてしまい、そうなんだよね…どうしてそこまで信じられるの?と思ってしまい…キチジローのフラフラした言動に頷けてしまい、でも隠れキリシタンの日本人にとっても、パードレにとっても信仰するということは、それだけの覚悟と強い気持ちと信念があるからこそのことで…だから最後にパードレが決断したことも、真に信じていたからこそできたことで…その決断と、映画の風景と沈黙とが合わさってとても苦しく哀しいものでした。

終わった後もなかなか席を立てないくらいにズシンと響いた映画でしたが、お武家さんのカタコト英語はともかく、ポルトガルの司祭たちが全編英語のセリフだったことにはちょっと興ざめしてしまったけど、どうしようもなかったんですかねぇ…