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ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~

久しぶりの映画のレビューです
でも、これがようやく2018年に入ってから見た作品のスタートなのですが・・・

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ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~
監督:ニキ・カーロ  主演:ジェシカ・チャステイン

1939年、ポーランドワルシャワ。夫婦でワルシャワ動物園を営み、愛する動物に囲まれて生活していたヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)は、ナチスドイツの侵攻に大きな不安を抱いていた。ヤンは、ナチスドイツがユダヤ人を弾圧するのを見て、アントニーナに動物園を彼らのための隠れ家にすると告げる。強制居住区域に暮らすユダヤ人たちを救い出しては動物園にかくまう彼らだったが、次第にナチスドイツの警戒は厳しさを増し彼らにも危険が迫る。
ダイアン・アッカーマンのノンフィクションを映画化したドラマ。第2次世界大戦下のポーランドを舞台に、ナチスドイツに迫害されるユダヤ人たちを、経営する動物園にかくまった夫婦の姿を映す。監督は『約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語』などのニキ・カーロ。『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン、『オーバー・ザ・ブルースカイ』などのヨハン・ヘルデンベルグ、『ラッシュ/プライドと友情』などのダニエル・ブリュールらが出演する。

今年の冬もホロコーストを扱った作品がいくつかありました。「肯定と否定」も見たかったのですが見るチャンスを逸してしまい、年明けでも上映していたこちらを見ることにしました。

ナチスからユダヤ人を救った物語といえば、シンドラーのリスト杉原千畝の話が有色です。ワルシャワの動物園の話はこれまで聞いたことがありませんでしたが、前者に比べると救われた人の人数が少なかったこともあって知られていなかったのでしょう。でもこの動物園のオーナー夫妻も確実に多くのユダヤ人の命を救いました。ワルシャワのゲットーが廃止され、貨物列車に乗せられて遠くの収容所に送られることになってしまい、なすすべもなく見送ることしかできなかったユダヤ人もいたのですから…

ただ、物語の中盤は「このご時世に不倫なの?」と一瞬思ってしまうような展開もありました。主人公とナチスの動物学者の不適切な関係、それに気づいた夫とのすれ違い…でも自分に心を寄せていると思っていた動物学者が飼育室の地下にダビデの星を見つけた時、それはユダヤ人をまもるために全て仕組まれたことで、自分は勘違いしていたことに気がついてしまったのです。そこまで物語が進んでやっとムダなシーンではなかったのだな、と気がついたのですが。

そして、見始めてだいぶ経ってから気がつきました。この作品では人間の虐殺シーンはありませんでしたが、動物園が舞台なので動物が大量に死ぬのです。「かわいそうなぞう」どころの話ではなく…(空襲のために猛獣たちが外へ出てしまったから致し方ない、という事情はありますが)それが見ていてつらかったところです。普段動物園でパンダがむしゃむしゃと竹を食べていると、動物園は平和の象徴だなぁと思わせますので。