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フェルメール 光の王国展

猛暑→台風→猛暑→台風→猛暑→
というこの夏ですが、あっという間にお盆休み突入の時期となりました。

この猛暑の中、所用で横浜駅まで出たときに、そごう美術館で興味深い展示をやっていたのでついでに立ち寄ることにしました。

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それが、フェルメール 光の王国展🎨
以前にもそごう美術館では、最新のデジタル技術で再現した「リ・クリエイト作品」によるレンブラント展が開かれたことがありました。最初はそれのフェルメール版かなと思っていたのですが、ちょっと違った趣向もあったのです。

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展示室に入ると、まずはフェルメールの全てのリ・クリエイト作品がずらりと並んでいました。フェルメールの作品は30数点しか現存していませんので、その作品数の少なさも希少性を高めています。フェルメールの作品展が開かれても、フェルメールの作品は1つか2つだけ。それが、一堂に会しているというだけで、リ・クリエイト作品と分かっていても圧巻です。上野で見た「真珠の耳飾りの少女👧」もありました。
また、作品中に登場する17世紀オランダで使われた楽器も再現してありました。まだ鍵盤楽器が現在のピアノになる前のことです。

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さて、このフェルメール展を監修しているのは美術館ではなく、生物学者青山学院大学教授の福岡伸一さんです。私も彼の新書を読んだことがあります。フェルメールオタクとしても知られ、「真珠の耳飾りの少女」があるマウリッツハイス美術館のCMにも登場したことがある福岡さんがなぜこの展覧会の監修をしているのか…それには彼が打ち立てたある「仮説」がありました。

フェルメールはその生涯のほとんどをオランダのデルフトで過ごしています。そしてフェルメールと同じ年、同じ月に同じデルフトで誕生したのがレーウェンフックでした。レーウェンフックはもともとは織物商人でしたが、アマチュア生物学者として知られており、当時としては驚異的な解像度の顕微鏡を作り出し、細菌や精子などのミクロな生き物を次々と発見しました。彼の業績は、6月まで国立科学博物館で開かれていた「人体」展で紹介され、現存する顕微鏡も展示されました。ノーベル賞山中伸弥先生もブラタモリでレーウェンフックについて熱く語っています。

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フェルメールとレーウェンフックの間に具体的な交流があったことを示す痕跡は無いそうですが、フェルメールの死後レーウェンフックが財産管理人になっているので、2人の間に何らかの交流があったのは確かでしょう。そして福岡伸一さんは、レーウェンフックが残した観察記録から仮説にたどり着きます。
スケッチがあまり得意ではなかったレーウェンフックは、自作の顕微鏡で観察したものを画家に描いてもらうことが多かったようです。そのスケッチがフェルメール存命中のものは大変緻密で、フェルメールの作品と共通するものがあるのですが、フェルメールの死後のそれはガラリと作風が変わっています。レーウェンフックの観察記録画家として記録に残っている人物は1人しかいないそうですが、彼が活躍したのは年齢的にもフェルメールの没後であることは明らかです。では、フェルメール存命中と重なる時期に緻密な観察スケッチを残したのは誰だったのでしょう?今では高校の生物の教科書にも必ず出てくるレーウェンフックの功績にフェルメールが関わっていたとしたら…

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まさにアートとサイエンスの融合

10月にはフェルメールのホンモノの作品が来日した展覧会がまた開かれます。楽しみですね🎵