As You Like It     ~気が向くままに~

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万引き家族

昨日の夕方から「貴乃花親方引退」ニュース一色となっています・・・
いったい何があったのか、未だによく分かりませんが・・・
その少し前に日本中に衝撃が走ったのが「樹木希林さん逝去」のニュースです。
そして、彼女の生前に公開された最後の映画がカンヌでパルムドールに輝いたこの作品でした。

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治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。
『誰も知らない』『そして父になる』などの是枝裕和監督による人間ドラマ。親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件に着想を得たという物語が展開する。キャストには是枝監督と何度も組んできたリリー・フランキー樹木希林をはじめ、『百円の恋』などの安藤サクラ、『勝手にふるえてろ』などの松岡茉優、オーディションで選出された子役の城桧吏、佐々木みゆらが名を連ねる。

正直、「パルムドール受賞作品だから」というバイアスがずっとかかったまま見続けたことは否めないと思います。だから、もしこの作品がパルムドールでなかったら、何気なく見逃してしまったシーンでも、パルムドールだと分かるとイチイチ素晴らしいものに見えてしまった可能性もあると思います。とは言うものの、見てから時間が経った今冷静に振り返ってみると、やはり素晴らしい作品だったと思います。
是枝さんの作品に出てくる家族には、アッパークラスの世帯はあまり出てきません。ごちゃごちゃとした庶民の生活をいかにも手が届きそうな雰囲気で描いています。この「万引き家族」ではさらに極めてしまい、社会的にはかなり底辺層に属してしまう偽りの家族の日常が伝わってきました。
以下はネタバレですが、万引きで生活必需品を入手し、子どもは学校に通わず、おばあさんははるか昔に出て行ってしまった元旦那の家にタカりに行き、そんなおばあさんが亡くなってしまったら遺体を隠して年金を貰おうとする…まぁ褒められたものでは到底ありません。全て身ぐるみ剥がされて、少年は保護され、偽りの両親と別れることになります。それでも彼らにとっては偽りの家族として過ごしていた時間がかけがえのないものだったのだろうと切なさを感じてしまうのです。
見終わった直後よりも、時間が経ってから「じわじわとくる」作品だったなぁとシミジミ思います。