As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

ワンダー 君は太陽

こちらはまだ暴風は吹き荒れていませんが、昼間は突然雨がザーッと降ることが何度もあり、不安定極まりない天気でした。今はちょうど「嵐の前の静けさ」と言ったところです。

さて、映画のレビューは相変わらず6月のものです。


生まれつき顔立ちが人と違う少年オギー(ジェイコブ・トレンブレイ)は、幼いころから自宅で母のイザベル(ジュリア・ロバーツ)と勉強してきた。10歳になり学校に通い始めた彼は同級生と仲良くしたいと願うが、じろじろ眺められたり避けられたりする。しかし彼の行動が、周囲の態度を少しずつ変えていき……。
R・J・パラシオの児童小説を、『ウォールフラワー』などのスティーヴン・チョボスキーが映画化。外見からわかる先天性の障害がある少年が、困難に立ち向かう姿を描く。主人公に『ルーム』などのジェイコブ・トレンブレイ、彼を愛情深く支える両親を『エリン・ブロコビッチ』などのジュリア・ロバーツと『ミッドナイト・イン・パリ』などのオーウェン・ウィルソンが演じる。

娘が学校で原作を読んだらしく、見たいというので一緒に行って来た作品です。
ジュリア・ロバーツがいいお母さんになっていましたね。先天性の病気のために手術を繰り返し、それでも特異的な顔のオギーが、未知の世界だった学校に突然放り込まれたようになって、周囲の視線にさらされ、イジメも受ける。そんな息子にとっていちばんの防波堤になりながら、息子を信じて送り出す。この家族がいたからオギーは家族での自分の居場所を見いだすことができたのです。映画ではオギーが1つずつステップを上がりながら、友人関係を築き、学ぶことの楽しさを見いだし、成長していく様子が丁寧に描かれていました。
それから、オギーだけの視点ではなく多くの登場人物から見たままを描いていたところも良かったです。特に姉のヴィア。
どうしても障碍を持った子にばかり親の関心がいってしまう、きょうだい児の切ない立場が描かれていました。オギーの学校は両親が熟慮の上に選んだと思われる私立学校なのに対して、ヴィアの学校は明らかに公立(アメリカは高校まで義務教育なので、公立を選べば高校入試もありません)。学校の雰囲気も全然違います。おまけに幼なじみの友人から距離をおかれてしまい、女子ならではの人間関係の悩みを抱えていますが、オギーの学校生活にかかりきりの両親にはヴィアの悩みが見えていません。彼女は演劇部で知り合った同級生に一人っ子だと言ってしまいます。
結局ヴィアはほぼ一人で様々な悩みと向き合い、弟の存在感を感じるとともに、演劇部を通して大きな成長を遂げます。そのことを両親が知る機会を得たのは本当に救いでした。
オギーを取り巻くさまざまな人々から見た彼と周囲の成長。その過程がとても自然で暖かいものだったので、ラストで彼が表彰を受けるシーンは敢えてなくても充分伝わるのになぁ、と思ったのでした。