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「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

教誨師

映画のレビューは、まだ昨年秋のものを書き続けています。

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教誨師 監督:佐向大  主演:大杉漣、玉置玲央、光石研

受刑者の道徳心の育成や心の救済を行う教誨師の中でも死刑囚専門の牧師・佐伯(大杉漣)は、独房で孤独な生活を送る死刑囚たちの良き理解者だった。6人の死刑囚たちに寄り添い対話を重ねる中、自分の思いがしっかりと届いているのか、彼らを安らかな死へと導くことは正しいことなのかと葛藤し、自身も過去と向き合う。
名バイプレイヤーとして知られる大杉漣がエグゼクティブプロデューサーを務め、最後の主演作となった人間ドラマ。彼らの改心を手助けする教誨師が、死刑囚たちと向き合う苦悩を描く。共演に映画初出演となる玉置玲央のほか光石研烏丸せつこ古舘寛治らが集結。死刑執行に立ち会う刑務官を描いた『休暇』の脚本を担当した佐向大がメガホンを取る。

大杉漣さんの突然の訃報は衝撃的でしたが(「相棒」の衣笠副総監はどうなるんだろうというのがまず最初に思い浮かんだことでしたが)、この作品は大杉漣さんの最初にして最後の主演作です。遺作として公開されました。上映された映画館の数が非常に少なかったので、見られなかった人も多かったのではないでしょうか?

ストーリーは、大杉漣さん演じる佐伯牧師と6人の死刑囚の対話がほとんどを占めています。BGMもなく、しんとした面会室の中で牧師と死刑囚の対話が続きます。その演技力たるや凄まじいものです。彼らがどのような罪を犯して死刑囚となったのか、あらかじめ情報はありません。対話を通して、徐々に背景が明らかにされていきます。

死刑囚の拘置所における教誨師の役割って何だろう?死に値する罪を犯した人がちょっとばかり宗教家と話したからって改心する訳ないだろう?と思いながら見ていましたが、懲役がない日々を送る死刑囚にとって、対話をすることで自分の犯したことと改めて向き合うことになる、その結果自らの死に向き合うことになるでしょう。牧師や僧侶などの教誨師は、彼らの声を聞きながら罪の犠牲者の安寧を改めて祈っているのだろうと感じました。
そして、大杉漣さんが主役でありながらいつの間にか死刑囚たちが主役に見えてしまったことに、改めて大杉漣さんの名バイプレイヤーぶりを感じました。
惜しい人が亡くなりましたね。
ご冥福をお祈りします。