As You Like It     ~気が向くままに~

「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

人魚の眠る家

ここ数日も気温のアップダウンが激しく…今日は春の陽気で、近所の桜🌸は満開を過ぎ、葉も出て来ました。
そんな中、ようやく昨秋最後に鑑賞した作品までたどり着きました。

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会社経営者の播磨和昌(西島秀俊)と妻の薫子(篠原涼子)は2人の子供を授かるが、現在は別居している。ある日、娘の瑞穂がプールで溺れて意識不明になり、医師に脳死と診断される。臓器提供を希望するか、このまま死を待つかの選択を迫られる夫婦は、悩んだ末に臓器提供を決意するが、薫子が一瞬だけ瑞穂の手が動いたのを見てそれを撤回する。和昌の会社が開発した最先端技術を駆使した延命治療が始まり、彼女は眠ったまま成長していくが......。
数々の著書が映像化されてきた作家・東野圭吾の小説を原作にしたミステリー。事故で重体に陥った少女の両親が過酷な選択を強いられる。メガホンを取るのは『トリック』シリーズなどの堤幸彦。『アンフェア』シリーズなどの篠原涼子が主演を務め、『MOZU』シリーズなどの西島秀俊らが共演する。脚本を、NHK連続テレビ小説「まれ」やドラマシリーズ「犯罪症候群」などの篠崎絵里子が担当する。

東野圭吾さん原作、と言えば「ラプラスの魔女」が玉砕モノだったのですが、この作品は深く考えさせられました。
エンターテイメントではなかったですね。
臓器移植が国内で可能になってからずいぶん経ち、成人ドナーからの臓器提供についてはニュースにもならなくなりましたが、未成年ドナーの場合、法的に可能になった今でもなかなか進みません。
医学的な事実と親が子を思う気持ち、それはドナー側も移植を受ける患者側も変わりません。作中の一家には、そこに最新科学の手が加わったことで、さらに複雑になっていきます。
登場人物が誰も悪くない故に切ないし、何が正解なのか分からないです。でも、篠原涼子さん演じる母親は、娘が人魚だったあの期間がなかったら娘の現実を受け入れられなかっただろうと思います。
ラストは彼女の臓器が体内で生き続けている少年のシーンでしたが、希望が持てる終わり方で良かったです。
この作品に出てきた、脳死状態の患者の四肢を動かす機械の存在はフィクションですが、現実には「長期脳死」の状態にある子どももいます。母親が綴っているブログもあり、医療と法律と当事者の心情の乖離はまだまだ続きそうだと考えさせられました。