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「ふるぼう」のブログがYahooから引っ越しました。

正倉院の世界

11月に入って間もないころ、秋晴れの日に8月末以来となる上野に行ってきました。
前回は残暑真っ盛りでしたからずいぶん過ごしやすくなりました。

まずは上野動物園のパンダ舎に直行しました。

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シャンシャンはわしゃわしゃと竹を食べています。
お母さんのシンシンも竹に埋もれています。
パンダにとっても「食欲の秋🍁」なのでしょうか?

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パンダ舎を出たところでは動物園ボランティアの方が「シャンシャンの糞」を展示していました。
お食事中の方はちょっと注意ですよ~

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パンダは大量の竹を食べても、ほとんどが消化されずに出てくるので、糞にも竹の繊維がそのまま残っているし、竹の香りがします。
大量の竹のほんの一部だけが栄養分として吸収されます。だから十分な栄養を摂るためには一日中食べていないといけません。だったらもっと吸収の良い餌を食べればと思うのですが、パンダは竹や笹しか食べないのです。

シャンシャンはこれくらいにしまして。
上野へ来た目的は、東京国立博物館です。

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奈良の正倉院展が東京で開かれるのは本当に久しぶりです。正倉院にはあまりにも貴重な宝物が多く、奈良を出ることはめったにないのですが、今年はご即位記念で貴重な宝物の数々が上京してきました。

正倉院の宝物は、奈良時代聖武天皇光明皇后ゆかりの品物が納められたのが始まりです。
聖武天皇が大切にしていた日用品もさることながら、遥か西域から渡ってきたものもあり、シルクロードの終着点とも呼ばれています。
歴史の教科書や資料集でお馴染みの宝物ですが、その貴重さゆえに奈良時代から時代が移り変わった武士の世の中でも、時の権力者により定期的に正倉院の宝物は点検されてきました。そして、宝物が人々の目にさらされるのはこの点検の時だけだったのです。東南アジア由来の伽羅の香木を室町時代の足利将軍や織田信長が切り取り、炊いた記録もあります。
長いこと東大寺が管理者だった正倉院ですが、明治になってから国の管理下(帝室博物館)におかれ、現在では宮内庁により管理されています。

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そんな正倉院の宝物の写真を撮ることなどとてもできませんが、フォトスポットとして精巧な複製品の琵琶がありました。いや、複製品なんていってはいけません。現在の工芸家によって当時の技術を再現するのがどれほど大変だったか。

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正倉院の琵琶は、その後に演奏されるようになった琵琶と弦の数が違います。譜面も残っていないため、その響きは想像するしかありません。
展示室では、想像上の琵琶の音を響かせていました。
そして、これらの琵琶の弦は絹糸でできていたそうなので、再現された琵琶には皇居内の御養蚕所で上皇后陛下が飼われた蚕から取れた糸を用いたそうです。

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太古の昔に人々が行き交ったシルクロードを通ってきた数々の宝物を目にすることができるのは、次はいつのことになるでしょうか。